持続可能な原材料調達
「パーム(椰子)油とCSR」開催報告
「RSPO:持続可能性への挑戦」(2)
M.R.チャンドラン(M.R.Chandran)/RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)顧問
●持続可能な経済システム
農業を見てみましょう。
現在、地表の33%のところで作物をつくる、あるいは放牧が行われています。そして、55%のところに人が住んでいます。わずか17%が道路もなく、夜間に光のない場所です。ヨーロッパは環境にやさしいと言いますが、2万2,000キロの海岸線の土地が舗装されています。世界の50%の土地が転換されています。「人間は地球を家畜化した」「手のつけられていない土地はほとんどない」というのが最近サイエンスに掲載された記事です。アメリカで開発された土地の15%は過去8年間に開発されたもので、今後30年間に建築されるビルは、これまで建設されたビルの数に匹敵するということです。東京でもすごい数の建物が建てられています。開発というのは、持続可能性に非常に巨大なインパクトがあるということです。
農業はこの50年間ですばらしい業績を達成してきました。食料供給量もこの50年間で2倍に増えました。しかし、次の50年間でまた倍増させなければなりません。これまで農業が行われてきたために、いろいろな問題が起きてきました。
サバ州最大のキナバタンガン川には
緑の回廊がありません。野生生物が動き回るには、細すぎます。
地元の法律違反の結果です。法律はありますが、多くの人が賄賂を送って逃れています。まず賄賂、汚職をなくす必要があります。緑の回廊を設置しないでアブラヤシが植わっているため、雨が降ると水浸しになって経済的な損失を被ります。ここで強調したいのは、これらのことは絶対にやってはいけない、ということです。スライドをお見せした意図は、是正すべき慣行がある、ということです。そして、その是正をRSPOがやらなければなりません。
森林火災も問題です。プランテーションでも火災が発生します。ASEANでZero Burn Policy(火災をゼロにしようとする政策)があるにも関わらず、いろいろなところで山火事が起きています。
それから森林の破壊。これ は50年前(左)のスマトラと現在のスマトラ(右)を比較した写真です。インドネシアでは人たちが開発を望んでいますが、必要なのは持続可能な開発であります。森林の破壊ということが言われていますが、マレーシアは63%が森林、インドネシアはほぼ50%が森林、ヨーロッパは開発のために200年前に森林を破壊しました。 森林があるから、と開発を求め、破壊する権利があるのでしょうか。これらの国々の木材を買うのは中国です。そして家具を作り、その家具購入しているのはヨーロッパ人であり、アメリカ人であり、日本人です。
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●関連情報
- シンポジウム「生物多様性と企業の役割〜パーム油の現場から〜」(2009年2月)開催案内
- 「発展途上地域における原材料調達グリーン化支援事業 」の報告書はこちら
- 「持続可能な原材料調達 連続セミナー」はこちら
- 公開研究会「輸送用バイオ燃料利用の持続可能性と社会的責任―ブラジル報告を中心に」