持続可能な原材料調達
「パーム(椰子)油とCSR」開催報告
「持続可能なパーム油とは〜CSRの視点から」(4)
足立直樹氏/株式会社レスポンスアビリティ代表取締役
●私たちに求められていること
私なりにどのようなことが現在、日本企業あるいは消費者に求められているのかをまとめてみると、やはり私達は普段使っているものの原材料がどこで、どのように作られているかをまだほとんど知らない気がします。これについてもっと調べなければいけないと感じます。またパーム油などの場合に非常に難しいのは、良くなければ使わない様にしよう、では済まされないことです。パーム油は様々な製品を通して私達の日常生活の中に入り込んでいます。それをまったく使わないということがまず非常に難しいです。仮にそれが可能であったとしても、今度はそのようなものを作ってきた人達が、より大変な目に遭ってしまうかも知れません。そのような点も考えると、やはり一つの解決方法として持続可能なパーム油が出来つつあるので、やはりこれをどのように使っていくか、進めるしかないと思います。
消費者の立場からすれば、持続可能なパーム油を使用している企業を応援していくことが非常に重要です。先程も言いましたが、日本では残念なことにまだまだRSPO自体が知られていませんし、参加企業数もかなり限られています。より多くの企業、団体、あるいはNGOが参加する働きかけが必要です。
そして一番重要なことは、持続可能なパーム油を使えば全て問題解決するわけではないということです。地球温暖化問題とも非常に良く似ていますが、やはり最後は絶対量の問題です。一つ一つの製品がいくら良くても、使う量が多ければ大きな環境問題になってしまいます。制度は必要ですが、制度だけでは問題は解決しません。だから最終的には私達は需要をコントロールすることにも取り組まなければいけないと思います。
(2007年10月10日東京都内にて)
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●関連情報
- シンポジウム「生物多様性と企業の役割〜パーム油の現場から〜」(2009年2月)開催案内
- 「発展途上地域における原材料調達グリーン化支援事業 」の報告書はこちら
- 「持続可能な原材料調達 連続セミナー」はこちら
- 公開研究会「輸送用バイオ燃料利用の持続可能性と社会的責任―ブラジル報告を中心に」