持続可能な原材料調達
「パーム(椰子)油とCSR」開催報告
「サラヤとボルネオの生態系保全」(2)
更家 悠介/サラヤ株式会社代表取締役社長
アブラヤシのプランテーションは農業というよりは資本主義の一形態です。パームは1haで約3.7tの油が取れます。これは大豆の10倍の面積効率で、ビジネスが大規模化をどんどん押し進めていることも、覆すことのできない事実なのです。マレーシアでは、トラやサイ、オランウータンなどすべてが絶滅に瀕しています。ヨーロッパでは「クッキーは他にも作る方法があるが、野生動物は1度絶滅すると作る方法はない」といわれ、パーム油に対する風当たりが強いです。
しかし、象を助けるだけでは根本的な解決にはなりません。そこで私たちは、持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)に参加しました。RSPOは2004年4月に設立されました。2006年1月にはクアラルンプールで会議があり、その研究会でボルネオの窮状を訴え、パーム農園と熱帯雨林について問題提起し、その打開策を提案しました。
2005年11月23日、シンガポールでRSPOが開催されました。この第二回総会において、サラヤは、川沿いの土地の重要性と開発と生物多様性の保護・調和のための「緑の回廊」に関する提言をし、総会に宣言文を提案しました。しかしプランテーション経営者から反対意見が続出して、宣言文の採択には至りませんでした。
一方、ボルネオ生物多様性保全・生態系保全プログラム(BBEC)は、ボルネオの生物多様性やエコシステムの保全を目的とした会議と運営を行う組織です。2006年3月の第4回BBECの総会で、サラヤはRSPOの時と同様の提言を行い、皆さんの賛同を得ました。同じ事項でも団体によって考え方が違うものであることが分かりました。
川沿いは、アブラヤシのプランテーションがどんどん進出して森を分断しています。今までは利益オンリーでしたが、これからは情報公開の上で、消費者の皆さんとともに社会にとって正しい姿を求めていくべきだと思います。開発や発展の意味をもう一度考え、それが持続可能なものになればよいと考えています。私たちの製品もお客様から支持されて、それも持続可能なものになればよいと思いながら活動しています。
(2007年10月10日東京都内にて)
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●関連情報
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