持続可能な原材料調達
ニューカレドニア・ゴロニッケル開発事業の環境社会影響現地フォトレポート
FoE Japanと地球・人間環境フォーラムは、2006年11月および2009年4月、ニューカレドニアのゴロニッケル開発事業に関する環境社会影響調査の一環として、現地を訪問し、事業地周辺視察(地上および上空)及び周辺先住民族コミュニティをはじめとする関係者への聴き取り調査を実施しました。調査中に撮影した写真および現地の研究者やNGOの方々にご提供いただいた写真を、フォトレポートにまとめました。
スライドショウの開始(5秒ごとに画面が切り替わります)
フォトレポートのPDF版のダウンロード(1.3MB)
緊急セミナー開催:危機に立つ生物多様性〜「天国に一番近い島」で今何が?(2009年6月3日)
【調査を終えて】
調査の中で出会った科学者、住民、NGOの多くは、口をそろえてこの地域の複雑で豊かな生物性の重要さを強調していました。まさに「保護価値の高い生態系」と言えるでしょう。ゴロ・ニッケル開発事業が、大面積の剥土を伴い、またテーリングダムなどの施設の建設を伴うため、生態系が直接的な影響を受けることは確かです。事業者は、採掘後を埋め戻し、植樹などにより回復をはかる計画ですが、一度破壊された生態系が復元されるかについては疑問が残ります。また、着工当時から赤土の流出問題が生じており、このフォトレポートのいくつかの写真からもその深刻さはおわかりいただけると思います。
生物種同士の相互関係や陸域、海域の関連性などを考えると、やはりこの事業が生物多様性に与える影響は、不可逆的であり、甚大であると言わざるをえません。
一方で、事業は、現地で昔から、自然と共生してきた先住民族に、深刻な「闘争」をもたらしました。事業が明らかになって以来、先住民族は現地の環境NGOや国際NGOと連携し、驚嘆するような忍耐強さと政治力で、事業と徹底的に戦い、ついに事業者と対等に向き合う力を身に付けました。この戦いがピークに達したのは、おそらく私たちが最初に現地を訪れた2006年のことだったでしょう。こうした激しい反対運動のさなかにも「どんどん事業は進行していった」と複数の先住民族リーダーが怒りをこめて語っていました。
その後、2008年に先住民族と事業者との間で「協定」が結ばれましたが、一部の先住民族にとっては事業がどんどん進んでいく状況の中で、先住民族を守るための苦渋の決断、また一部の先住民族にとっては深刻な葛藤と亀裂をもたらすものだったようです。2009年4月の調査時点では、同月1日に大規模な硫酸もれの事故があったこともあり、先住民族からは「工事や操業の中止を求めたい」という切実な声がきかれました。「協定」自体の評価はわかれることながら、これは、先住民族に影響を与える事業の際に取得が必要だとされる「自由で事前の情報を十分提供された上での合意(FPIC)」とは、かなり性格が異なるものであると考えられます。
FoE Japanと地球・人間環境フォーラムでは、近日中に調査をもとにより詳細な報告書をとりまとめる予定です。
調査参加者:
・清水規子/国際環境NGO FoE Japan
・谷口正次/資源環境ジャーナリスト、国連大学ゼロエミッション・フォーラム理事
・満田夏花/地球・人間環境フォーラム主任研究員
(通訳:真下俊樹/市民エネルギー研究所・日本消費者連盟運営委員)
(文責:満田)
調査の中で出会った科学者、住民、NGOの多くは、口をそろえてこの地域の複雑で豊かな生物性の重要さを強調していました。まさに「保護価値の高い生態系」と言えるでしょう。ゴロ・ニッケル開発事業が、大面積の剥土を伴い、またテーリングダムなどの施設の建設を伴うため、生態系が直接的な影響を受けることは確かです。事業者は、採掘後を埋め戻し、植樹などにより回復をはかる計画ですが、一度破壊された生態系が復元されるかについては疑問が残ります。また、着工当時から赤土の流出問題が生じており、このフォトレポートのいくつかの写真からもその深刻さはおわかりいただけると思います。
生物種同士の相互関係や陸域、海域の関連性などを考えると、やはりこの事業が生物多様性に与える影響は、不可逆的であり、甚大であると言わざるをえません。
一方で、事業は、現地で昔から、自然と共生してきた先住民族に、深刻な「闘争」をもたらしました。事業が明らかになって以来、先住民族は現地の環境NGOや国際NGOと連携し、驚嘆するような忍耐強さと政治力で、事業と徹底的に戦い、ついに事業者と対等に向き合う力を身に付けました。この戦いがピークに達したのは、おそらく私たちが最初に現地を訪れた2006年のことだったでしょう。こうした激しい反対運動のさなかにも「どんどん事業は進行していった」と複数の先住民族リーダーが怒りをこめて語っていました。
その後、2008年に先住民族と事業者との間で「協定」が結ばれましたが、一部の先住民族にとっては事業がどんどん進んでいく状況の中で、先住民族を守るための苦渋の決断、また一部の先住民族にとっては深刻な葛藤と亀裂をもたらすものだったようです。2009年4月の調査時点では、同月1日に大規模な硫酸もれの事故があったこともあり、先住民族からは「工事や操業の中止を求めたい」という切実な声がきかれました。「協定」自体の評価はわかれることながら、これは、先住民族に影響を与える事業の際に取得が必要だとされる「自由で事前の情報を十分提供された上での合意(FPIC)」とは、かなり性格が異なるものであると考えられます。
FoE Japanと地球・人間環境フォーラムでは、近日中に調査をもとにより詳細な報告書をとりまとめる予定です。
調査参加者:
・清水規子/国際環境NGO FoE Japan
・谷口正次/資源環境ジャーナリスト、国連大学ゼロエミッション・フォーラム理事
・満田夏花/地球・人間環境フォーラム主任研究員
(通訳:真下俊樹/市民エネルギー研究所・日本消費者連盟運営委員)
(文責:満田)