開発途上地域のCSR
平成18年度 我が国ODA及び民間海外事業における環境社会配慮強化調査業務Part1
ベトナムにおける企業の環境対策と社会的責任 CSR in Asia
本報告書について
※報告書は下記の環境省のホームページからダウンロードできます。
環境省のページへ
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<目次>
Part 1 ベトナムにおける CSR in Asia
1.ベトナム経済の概要と日系企業の進出状況
2.ベトナムにおける環境問題の現状
(1)概要
(2)水環境
1)概況
2)汚染源
3)沿岸域・海洋の状況
4)戦略・法令・基準
5)解決に向けた最近の取組
(3)大気環境
1)概要
2)交通由来の大気汚染
3)産業由来の大気汚染
4)大気汚染防止のための環境法令及び基準
5)最近の対策
(4)廃棄物
1)概況
2)戦略・法令・政策
(5)自然生態系
1)概況
2)森林
3)沿岸・海洋
4)法令・政策
3.ベトナムにおける環境行政と政策
(1)環境行政の概要
1)自然資源環境省(MONRE)及び自然資源環境局(DONRE)の発足
(2)環境保護国家戦略とベトナム・アジェンダ21
1)環境保護国家戦略(2010年までの戦略及び2020年に向けたビジョン)
2)ベトナムの持続可能な発展のための戦略(ベトナム・アジェンダ21、2004年8月)
(3)戦略的環境評価、環境影響評価、環境保護公約の導入
1)戦略的環境評価の導入
2)環境影響評価(EIA)制度〜法改正で明確に
3)環境保護公約の導入
(4)環境保護法及び施行細則
1)環境保護法
2)環境保護法の実施細則及び指針に関する政令
3)開発戦略、開発企画、開発計画、開発プログラム、開発プロジェクトの作成、評価、承認、実施の各段階における環境保護政令
4.ベトナムにおけるCSRイニシアティブと日系企業
(1)注目を集め始めたCSR
(2)企業の取組の傾向
1)労働環境
2)社会的弱者への支援
3)原材料調達における環境社会配慮
4)交通問題への対応
5)環境管理
6)環境対策についても内外無差別の方向へ
5.事例編
事例1 ホンダ・ベトナム:ベトナム初の廃気物のセメント原料化
事例2 日本ベトナム石油:随伴ガスの改修でベトナム初のCDM事業
事例3 ソニー・ベトナム:環境保護を通じて良い企業市民へ
事例4 パシフィック社:農家とのきめの細かいコミュニケーションで地域に根ざした経営
事例5 バイエル・ベトナム: 農薬の安全な使用のために各地でトレーニング
事例6 ハノイ織物衣類:元国営企業が独自に取り組む環境改善
添付資料
・添付資料1 環境保護法
・添付資料2 環境保護法施行細則及び指針
・添付資料3 開発戦略、開発企画、開発計画、開発プログラム、開発事業の評価、
承認、実施の各段階における環境保護のための政令
・添付資料4 環境保護領域における行政義務違反に対する制裁に関する政令
・添付資料5 大気環境基準、大気排出基準、産業排水基準
【本報告書について】
当財団は、環境省の委託を受け、平成8年度から平成11年度及び平成13年度から平成15年度に開発途上国地域に進出している日系企業の環境対策の支援を目的として、年度毎に順次、フィリピン、インドネシア、タイ、マレーシア、ベトナム、シンガポール及び中国の7ヶ国を対象とした調査を実施し、その成果を国別の環境対策ガイドブックとして取りまとめた。
近年の企業活動のグローバル化に伴い、開発途上地域、特にアジア地域において活動を展開する日系企業にとっては、これまでの調査で対象としてきた公害対策等従来型の環境問題への対応はもちろんのこと、サプライチェーン管理や市民社会との対話、人権や雇用問題への対応といった幅広い領域を有する企業の社会的責任(CSR)を念頭においた環境配慮の強化が、急速に求められるようになっている。しかしながら、異なる社会的特性を持ち情報も比較的限られているアジア地域の各国において、日本企業が幅広いCSRの要求事項を達成していくことは、実施面で困難が伴うのが実情である。
このような動向を踏まえ、本調査事業は、前年度に引き続き(1)特にベトナムにおいて企業が対応を求められる環境対策をはじめとしたCSRへの対応に係る先進事例等の収集を行い、日系企業等関係者への情報提供を行うとともに、企業の取組を促進するための行政施策の今後の方向性を検討すること(本報告書のPart 1がこれに該当)、(2)開発途上国において実施される開発プロジェクトに資金面から深く関わる金融機関等の環境配慮に関した情報収集・整理(本報告書のPart 2がこれに該当)を通じて、我が国のODA等公的資金による開発事業及び民間海外事業における環境配慮の強化に資することを目的として実施された。
実施に当たっては、文献調査を行い、さらにベトナムにおいて現地ヒアリング調査を実施した。
調査の結果、グローバル企業の開発途上地域におけるCSR戦略、実践の具体例が多数収集されるとともに、ベトナムにおける環境対策やCSRの促進に向けた力強い動きが明らかになった。本報告書はこれらの動向の概要及び具体例をなるべく多く紹介し、企業及び行政への提言をまとめた。
一方、国際金融の分野においては、国際金融公社(IFC)が、最近その環境社会配慮政策(セーフガードポリシー)の見直しを行い、民間金融機関なども環境社会配慮方針の策定・実施に取り組んできている。これらの一連の動きなどについて情報収集、整理を行った。
■調査概要
本調査は以下のような手法で実施した。
(1) 企業のベトナムにおける環境対策やCSR対応状況の文献等調査(平成18年11月〜12月)
各種文献、企業が作成・公表している環境報告書等から、ベトナムでの企業活動において行っている環境対策・CSRに関連する取り組みの概略に関する情報を収集し、開発途上地域において事業活動を展開し環境対策・CSRに関連して顕著な取り組みを行っている日本企業及び欧米資本の企業を抽出した。
(2) ベトナム調査(平成19年2月、3月)
(1)で抽出した企業のうち、ベトナムにおいて事業活動を展開している企業の事業所または海外関連会社、行政・企業、関連諸機関、NGO/NPOに対し、環境対策・CSRに関連するヒアリングを行い、地域レベルでの取り組みの実状、現地の環境規制動向や社会状況など取り組みに影響を及ぼしている要因、取り組みの継続・発展に向けた課題、行政に期待したい役割・施策の方向性に関する意見を聴取した。
(3) 収集事例の整理、環境関連法令の翻訳・分析(平成19年3月)
(2)で収集した事例の整理、環境関連法令の翻訳及び分析を行った。
■調査期間
平成18年11月〜平成19年3月
■調査チーム
中寺 良栄 (財)地球・人間環境フォーラム企画調査部長 全体総括
満田 夏花 同上 主任研究員 ベトナム全般、環境法令、事例
足立 直樹 同上 客員研究員 企業事例調査、執筆
井上 果子 同上 客員研究員 企業事例調査コーディネート
新江 利彦 同上 客員研究員 ベトナム環境法令・翻訳
京極 絵里 同上 研究員 ベトナム環境法令・翻訳