取り組み事例

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「グル自治体の環境改善に向けた自然環境保護・緑化政策」

グル市環境局長官 アシーレ・ジョゼ・ジョーラ


序論

    グル自治体は、熱帯アフリカの亜サハラ地域、ウガンダ北部の北緯2度48分、東経32度17分に位置する61平方キロの自治体である。それは、サハラ砂漠の砂漠化地域から約300キロ南にある。

    この地域では生態系の持続可能な活用に関しての意識が不十分であり、大きな環境問題としては、定住地の不足、衛生面の問題、土地の劣化、限界でしかもこわれやすい生態系に貧しい人々が居住している、ということなどがあげられる。また、ここ10年来の武装紛争により、人々が田園地帯から自治体に移り住んでしまったことで、さらに問題が悪化してきている。自治体の人口は1991年には40,000人であったが、1996年には100,000人に増加している。このような状況は自然の存在に対する脅威であり、自然保護・回復のために有効な手段を講じることが必要となっている。

    ウガンダは地方分権政策を通じて人民による民主主義を実践している。民主主義プロセスの目的は地域コミュニティの有効かつ民主的な参加を促進させることにある。その法的な枠組みは地方政府法令(1993年第15項)で制定された。

    自然環境保護と緑化政策に関しては、地方分権政策をとっているために、関連の計画や管理はコミュニティに基盤を置いた政策が要求される。このため、地域的にイニシアティブやコミュニティによる参加に適しているということができる。


1. 自然環境保護 −グル自治体の方針、原則と戦略

    自然環境保護と緑化政策の総体的な目標は環境の質を維持し、それを高めるような持続可能な開発である。

    政策の目標は以下の3つの基本目標を達成することにある:

  1. 生態系プロセスと生命維持システムの保全。土壌、水および河川、森林、湿地帯および沼地、空き地、緑地などが生命維持システムとして存在し、その維持、あるいは保護が行われている。
  2. 植物の自生地および動物の生息地の保護、および地域固有の種の再導入により多くの植物や動物を絶滅から守る。
  3. 現在および将来のニーズに対応し続けるように種と生態系の利用の管理を行なう、資源の持続可能な活用。

    上記の政策目標の基盤となっているのは政策の展開・実施戦略を誘導するような特定かつ重要な方針である:

    実施のための戦略は:

  1. 自然環境保護の価値がある地域およびセンシティブな動植物の特定を行い、保護あるいは保持する手段を調査する。
  2. 自然環境保護に関係する機関、特に林業、野生動植物の専門家、湿地帯保護あるいは管理のプログラム、漁業、観光業、および環境管理専門家などと調整・協力する。
  3. 自然環境保護・緑化政策活動のために一般からのサポートを奨励し、自然環境保護・       緑化政策の重要性について住民の認識を高めることに重点を置き、植樹や野生生物の保護への個人やコミュニティによる投資を促進する。


2. 自然環境保護対象の現存の動植物

    特色のある様々な自然環境、および歴史的に価値ある場所を保護し、その価値を増すことは重要なことであると考えられる。
  1. 市街地の外の約150ヘクタールの(ユーカリの)森林。
  2. 湿地帯、主に町の開発された地域周辺にある5平方キロほどのパピルス(カミガヤツリ)の沼地。 
  3. 町の開発された地域のうち30%以上を占める再植林のために緑化されつつある空き地。
  4. 市当局によって管理されている3本の小川。そのうちの1本は町の中心まで流れている。
  5. 水棲生物を保護するための池。池は個人所有のものと、漁業分野で所有するものとがある。
  6. 緑地公園として開発中の、1962年ウガンダ独立の土地。
  7. 飛行場近辺の約1平方キロの土地は、絶滅のおそれがある動植物や弱い動植物を移入する予定であり保護地域となっている。
    動植物の種類の目録、およびそれら動植物の「要注意」リスト("red" list)は現在、作成中である。


3. 緑化運動と地域コミュニティの参加

    我々の緑化運動はセンシティブな生息地、造園、そして遺棄された地域の修復と関わっている。造園とは、自然の中の保養設備を保護し、その価値を高めるということであり、これと生息動植物の保護との均衡を測り、さらに生け垣、木が植えられた通り、水路や小川などのような典型的な造園の特色を取り入れることを奨励する事によって、調和のとれたビオトープとすることである。

    自然環境保護の価値に重点を置いた環境に関する意識の啓蒙は、市のプログラムでは最優先のプログラムである。

    個人や地域コミュニティグループ、特に女性や若者たちは植林に関わっており、民間の遊園地の維持を奨励されている。

    市議会下院とその環境委員会は、管轄権が及ぶ地域での生息動植物の保護および植林地の維持に携わっている。

    学校は野生生物のクラブ、およびそのクラブのための地区協会を設立している。それらの協会は「ウガンダ野生生物クラブ」(WCU)の会員である。また、WCUは「世界環境保持連盟」(IUCN)の会員でもある。

    地域コミュニティは保護地域の設定に関与しており、また、そのことによって得られる利益についての管理と分配にも関与することになっている。


4. 自然環境保護によって得られる効果

    都市の中の自然は、たとえば造園を例に取ると、それはアメニティ地域をより良くし、大気中の汚染物質や騒音のレベルも減少させるというように、様々な利点があるという意識が生まれてきた。

    保護地域政策の導入により、都市の中の自然に対する認識が、人の手によって作られた動植物による公園や遊園地よりも、より自然のままに近い動植物の方を評価するように変わってきた。

5. 結論

    まず、自然環境保護の重要性というものを大衆が認識することが前提である。地域の委員会組織や地域コミュニティの自然環境保護および管理への関与は、不可欠なものである。

    正しい動機づけがあれば、学校の生徒たちも自然環境保護に関して、より積極的に活動ができる。

    都市の中の野生生物は、新規の開発に影響を受け続けており、また常に移り変わる環境の中にある。そのために、保護地域を定める必要があり、また頻繁にその評価と調査が行われなければならない。調査のデータはできる限り能率的な方法で照合、分析、保存し、見直し、伝達する必要がある。そのためには、優れた方法が必要とされる。



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