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取り組み事例


「藤沢市における省資源・資源循環型社会構築に向けた取組み」

神奈川県藤沢市    環境部環境政策課    主幹    大島    実    


    藤沢市は、東京からほぼ50キロに位置し、神奈川県の中央南部、周囲は横浜、鎌倉、茅が崎、大和、綾瀬、海老名の6市と1町(寒川町)に囲まれ、南部は相模湾に面して、南北約12q、東西約6.5qの大きさを持ち、面積は69.49uで、神奈川県の総面積2,413uの2.9%を占めています。

    藤沢市の南東部の地域は丘陵地帯で、そのほかにも若干の起伏があるが、市域は概ね平坦であり、気候は、夏は比較的涼しく、冬暖かい環境にあります。

    市政施行は、昭和15年10月1日で、現在の人口は、362、571人、世帯数は、134、427世帯(平成6年4月1日現在)で、神奈川県では横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市に次いで5番目の人口を抱えています。


廃棄物処理事業の沿革

    藤沢市のごみ処理事業は、1945年(昭和22年)から民間業者の大八車、リヤカ−等によっておこなわれ、昭和25年、市の業務として旧清掃法に基づく特別清掃区域である市街地を中心に、三輪車やリヤカ−によって有料で収集を開始しました。

    そして昭和29年には、石名坂に固定式バッチ炉30トンを建設し、収集ごみを焼却処分したことにより、公衆衛生の向上に寄与し、埋め立て処分量は減少しました。

    昭和30年代に入ると、人口の増加、生活水準の向上に伴いごみの排出量が増加し、ごみ質も変化してきたので、これらに対処すべく36年頃より収集体制の充実を図るため、機械力を導入し、従来からの各戸収集から容器収集方式に改められ、「収集場所への排出、定日収集」となるとともに、ごみ収集手数料の無料化が実施されました。


近代清掃事業への転換

    昭和45年12月に、清掃法は廃棄物処理法に改正され、事業者責任が明らかにされるとともに、今までの普通ごみ収集のみでは、ごみの焼却処理が困難なため、普通ごみと粗大ごみに区分し収集することになり、又この年、今後のごみ量の増加に対処すべく連続燃焼式焼却炉150トン2基を北部に建設し、ごみの適正処理体制の確立を図ってきました。

    ごみ収集は、昭和46年に、日本住宅公団団地の普通ごみを、昭和47年には、市内全域の粗大ごみを委託収集とし、昭和48年からは、普通ごみの全市週2回の定日収集を実施しました。

    この、昭和48年は「藤沢市廃棄物の処理及び清掃に関する条例」を制定した年で、その後、昭和52年には、増大するごみ量に対応すべく「藤沢市ごみ減量推進本部」を設置し、減量資源化方策の検討を重ね、市、市民、事業者の三者の協同方式による資源ごみ収集を開始し、収集対象品目は、ビン・缶・金属・布類・紙類で、スタ−トしました。

    昭和59年には、石名坂の固定炉を連続燃焼式焼却炉130トン3基合計390トンに改修し、焼却炉から余熱を利用した石名坂温水プ−ルを開設しました。

    平成3年に、再生資源利用促進法の制定と、廃棄物処理法の抜本的な改正により、廃棄物の減量化、再生利用の推進、廃棄物の適性処理の確保ということが明確化され、排出抑制、分別・再生への方向が打ち出され、本市も、50年代後半からごみ量の増加が顕著になり、平成2年10月に、学識経験者、市民、事業者、行政の四者からなる「藤沢市ごみ対策会議」を設置し、今後の廃棄物対策の在り方について討議を行い、平成3年10月に「藤沢市のごみ減量化にむけて−提言」を取りまとました。

    この提言を踏まえ、平成4年2月に「藤沢市ごみ処理基本計画」の一部見直しを行いました。

    以上のような背景のもと、本市では「廃棄物の処理及び清掃に関する法律第6条」の規定にもとづき、藤沢市の廃棄物行政を、長期的・総合的視点に立った、一般廃棄物処理基本計画を策定し、これを基礎とした計画的な処理の推進を図るとともに、地域の実情に即したごみ処理に係わる長期的ビジョンを明確にし、それを実現するための具体的な施策を総合的に検討し作成したものです。

    本計画は平成6年度を初年度とし、平成15年度を最終年度として向こう10年間の基本施策について方向づけをしたものです。それでは、この一般廃棄物処理計画についてご説明させていただきます。


減量化、資源化への展開

    藤沢市は、廃棄物の適正処理はもちろん、廃棄物の発生抑制とか再利用の推進などを前提とし、経済と文化の調和のとれた暮らしやすいまち、自然と仲良く共生するまちの2本柱を目標としたまちにすることを、基本姿勢としております。

    そして、行政の責務は、

  1. あらゆる施策を通じて、ごみの減量化、資源化及び適正処理を図ります。
  2. ごみの減量化、資源化及び適正処理について、市民及び事業者の意識の啓発・環境学習を推進し、事業者に対して適切に指導を行ないます。
  3. ごみの減量化、資源化及び適正処理についての技術の開発、情報の収集及び調査研究をおこないます。
  4. 市民の責務は、
  5. ごみの減量、分別に努めます。    
  6. 再製品の使用、不用品の活用に努めます。
  7. ごみの減量化、資源化及び適正処理について、行政の施策に協力します。

事業者の責務は、

  1. リサイクルしにくいものは、つくらない、売らない。
  2. 製品の回収ル−トを確保し、リサイクル技術を確立するとともに、事業活動に伴って生じたごみは、自らの責任において処理する。
  3. ごみの減量化、資源化及び適正処理について、行政の施策に協力する。

以上の各主体の責務を明確にし、そのためには、「ごみを作らない」「ごみを買わない」「ごみを出さない」、そして「再生・再利用品を積極的に使う」暮らしめざしていくことを重要課題としてきました。


ごみ処理基本計画

    藤沢市のごみ処理計画は、現に実施されている短期実現施策の拡大と、さらに、今後実施されるべき中期・全国的施策の導入により現状の20%の資源化、減量化を目標に施策を展開しております。

    まず初めは、ごみの排出抑制・再資源化に関することで、それは、市民・事業者・行政が一体となって排出源での、ごみ発生を抑制するとともに、ごみに含まれる有価物(紙、布、金属、ガラス等)の回収を積極的に図ることよって、資源の有効利用、最終処分場の延命化を図ることです。

    次に、減量目標達成のため、市独自で実施可能な「短期実現施策」と「中期実現施策」及び国レベルまたは社会経済システムの変革を必要とする「全国的施策」の3段階に分け推進しております。

短期実現施策は、

◎コンポスト容器の導入推進

    可燃ごみの中で厨芥の占める割合は、重量比で約60%であり、コンポスト容器は、庭のない家庭では導入困難であり、また個人によって利用の度合いも異なるので、減量効果の推定は、1戸建て世帯の30%へ普及させることを目標として、厨芥をおおむね1割減少させることです。

◎資源ごみの収集回数の増加(月1回収集から2回収集へ)

    ごみ質調査によれば現在の、大型ごみ・不燃ごみの中に40%〜50%の資源物が混入していたことから、回収の増により、不燃ごみの30%を資源ごみとして回収できるものとすること。

◎大型ごみのコ−ル制

    平成4年度に大型ごみのコ−ル制を実施しました。実施後大型ごみ、不燃ごみが33%減少することができました。今後は大型ごみの再利用(資源化センタ−)等により、さらに大型ごみの10%減量ができるものと推定しています。

◎過剰包装の抑制

    トレイやラップ等の包装材は、その利便性から大量に消費され、可燃ごみ、不燃ごみの中に混入している、これを抑制することが、非常に重要な課題としてとらえて、本市では、ごみ減量推進店制度などの中で取り組んでいます。

◎買い物袋の持参

    ス−パ−等の袋は重量で不燃ごみの中の1〜2%を占めている。食品トレイと同様に重量的に少ないので、少々の減量では減量効果が現れないことが考えられる。しかし、食品トレイとあわせて減量していかなければならないので、2分の1を減量することとして、不燃ごみ量の1%を減量することとしています。

◎適性処理困難物の処理方法の確立

    適性処理困難物または危険物は、重量比で大型・不燃ごみの中の数%を占めている。

これらは、処理方法が確立していないため、大型ごみ、不燃ごみへ出されたものと推定される、そこで、蛍光灯や乾電池の収集日を不燃ごみと分離した収集方法を確立する。

◎その他

    廃棄物減量等推進制度の導入、事業系ごみの排出方法、多量排出事業所の減量、資源化指導

    以上短期実現施策です。

    中期実現施策は、資源化センタ−の整備、新清掃工場の整備、新最終処分場の整備、梱包材の簡素化推進、回収システムの確立などであります。

    全国的施策としては、再生、再利用しやすい製品の開発推進、再生資源の利用拡大、ワンウェイビンの使用抑制とリタ−ナブルビンの使用促進、製品課徴金の制度、デポジット制度の導入、廃棄物処理に対する事業者責任の明確化です。

    簡単ではありますが、藤沢市のごみ処理の状況と今後の施策について述べさせていただきました。



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