グローバルネット(月刊環境情報誌)
フロント―話題と人(2015年6月/295号)
アフリカのバラを日本で売ってケニアの若者の雇用を創出したい
「アフリカの花屋」を経営する株式会社Asante代表
萩生田 めぐみさん
萩生田(はぎうだ)さんは3人姉妹の長女。恥ずかしがり屋で小学校4年生までは、授業で先生に指名されても、下を向いて返事もできない児童だったという。
その後のドラマチックな青春行脚を聞くと、信じがたいエピソードだが、「殻に閉じ込もっている自分が嫌になったんですね。転校を機会に、もっと楽しく、もっと友達を作りたいと積極的に振る舞ったら、毎日が一変しました」とにっこり笑いながら自己変身の術をさりげなく話してくれた。困難極まりなく見える挑戦を、次々とやってのける原点は、小学生時代に培った克己心にあるのかもしれない。
それ以来、人と関わることが大好きになったという萩生田さんは、米国の大学へ進学後、日本の大手製薬会社に就職。退職して、アフリカに小学校をつくる活動をしているNGOに参加してケニアへ。さらに、働く場所のないケニアの若者たちの日常を見て、彼らの雇用機会を作らなくてはアフリカの発展につながらないと、2012年1月に帰国すると、日本での市場調査、アフリカの花を受け入れてくれそうな花屋さん巡りなど、夢に向かって駆け抜けてきた。
ケニアに滞在中、アパートの隣にあった花屋さんのバラに心を癒されたという。大輪で色は鮮やか。丈夫で長持ち。生命力にあふれるアフリカのバラに、「日本にないアフリカの美しい花とアフリカにない日本の経済的豊かさ、この価値の交換を継続的に実現することが私の最終目的です」(萩生田さんのブログより)という気持ちに駆り立てられ、ネット上で販売に踏み切ったという。
同年6月には2,500本のアフリカのバラが成田空港に到着。輸入、検疫などの手続きも1人でこなし、「アフリカの花屋」はスタートした。昨年のクリスマスに輸入量は5,000本にまで増えた。「日本の花屋さんにも、アフリカのバラのことをもっと知ってもらいたい。アフリカの花を買うことは、ケニアの子供たちが学校に通えることにつながります。日本を花でいっぱいにしたい」という萩生田さんは、エネルギッシュな草月流の師範でもある。(H)
※バラの注文は「アフリカの花屋」まで
(グローバルネット:2015年6月号より)
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