世界の森林と持続可能な森林管理
「森林保全分野のパートナーシップ構築のあり方」調査報告書(平成23年度環境省事業)
2011年は、国連が定めた国際森林年で、森林の重要性がこれまで以上に認識された年でしたが、依然世界の森林は減少と劣化を続けています。近年減少のスピードは緩和しているものの、森林の保全と回復が世界的な課題であることに変わりはありません。
日本においては、森林保全活動を通じて環境に貢献したいという企業は増えています。しかし、特に海外での森林保全活動には、技術的な知見、活動地のコミュニティ等との調整、中長期的な計画の策定、持続可能な森林経営などの多くの課題があります。一方で日本の環境NGO/NPOには、森林減少や砂漠化の進む開発途上国で地道な活動を続け、地元コミュニティや自治体とネットワークを築き、海外での森林保全活動で成果を上げてきたNGO/NPOもあります。しかし、これらのNGO/NPOが共通して課題とするのは資金不足で、不安定な活動を余儀なくされています。このため、資金力を持つ民間企業と、技術・知見を有するNGO/NPOが連携した取組の促進が、森林保全活動より効果的なものとするために重要です。
昨年度は、企業はNGO/NPOの森林保全活動の事例などを紹介するウェブサイト「企業とNGO/NPOの協働による世界の森林保全活動情報サイト:フォレストパートナーシップ・プラットフォーム」を構築し、環境省のウェブサイトにて公開されました。
今年度はこの情報プラットフォームを広く活用してもらうため、リーフレット(PDF)を作成しました。また情報プラットフォームの充実のため、以下について情報を収集し項目を追加しました。
●世界の森林とその保全>熱帯諸国等の森林の現状
インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、ブラジル、中国についての森林の概況などの情報を追加しました。
●森林保全と企業>森林保全に取り組む企業が知っておきたいキーワード
CDM植林、REDD、生物多様性オフセットなどいくつかのキーワードについての説明を追加しました。
●パートナーシップによる森林保全>国際機関を通じた森林保全分野への支援
主に国際熱帯木材機関(ITTO)の活動についての説明を追加しました。
いくつか日本企業が関わっている森林保全の事例も紹介しています。
●パートナーシップによる森林保全>様々な分野でのパートナーシップの事例
NPOの基盤強化を支援するプログラム、教育や医療分野に特化した支援プログラムなど、様々な分野での企業とNGO/NPOの連携事例6つを紹介します。森林保全分野での連携を考える際の参考にしてください。
●事例とデータベース
掲載事例を追加し、パートナーシップの事例(全15件)、企業の森林保全の事例(計11件)、NGO/NPOによる森林保全の事例(計13件)など、すべての事例についてこちらのページに集約しました。またデータベースでの掲載件数も増えています。
【報告書のダウンロード(PDF版 4.56MB)】
【目次】
平成23年度
「森林保全分野のパートナーシップ構築のあり方」調査報告書
はじめに/目次/調査概要/参考資料
第1章 企業及びNGO/NPO の森林保全活動等の情報収集 | |
(1)企業による森林保全活動の事例 | |
事例1:ソニー株式会社 | |
事例2:ダイキン工業株式会社 | |
事例3:ミサワホーム株式会社 | |
事例4:株式会社 明治 | |
事例5:株式会社ラッシュジャパン | |
(2)NGO/NPO による森林保全活動の事例 | |
事例1:公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン) | |
事例2:特定非営利活動法人地球緑化センター | |
事例3:特定非営利活動法人HANDS | |
事例4:緑のサヘル | |
事例5:特定非営利活動法人 Link・森と水と人をつなぐ会 | |
第2章 企業とNGO/NPO の連携による森林保全活動事例の収集 | |
(1)企業とNGO/NPO の連携による森林保全活動の事例 | |
事例1:NGOとの連携によるマングローブ植林プロジェクト 事例2:組合員の寄付による森林再生 事例3:アグロフォレストリーコーヒーのフェアトレードで支えるエクアドルの森林保全 |
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(2)企業と公的機関の連携による森林保全活動の事例 事例1:アカシアの植林地を熱帯林に再生 事例2:生物多様性の回復を目指した植林活動 事例3:エチオピアの天然林を住民参加と認証コーヒーで守る |
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第3章 企業及びNGO/NPO等の連携に関する情報収集 | |
(1)NGOから見た企業との連携 | |
事例1:プロフェッショナルによるボランティアでNPO活動を支援 事例2:本のリサイクルがアジアの子どもたちの教育支援につながる 事例3:アジアでの保健・医療教育支援に企業のノウハウを活かす |
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(2)企業から見たNGOとの連携 事例1:草の根の環境保全グループを支援する 事例2:NGO/NPOの基盤強化を支援 事例3:柔軟性が高く使い勝手の良い先進的なNPO助成プログラム |
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第4章 NGO/NPOの能力形成に関する情報収集 | |
(1)NGO/NPOの組織基盤 (2)NGO/NPOが必要と考える能力形成の分野 (3)企業がNGO/NPOに必要と考える能力形成の分野 (4)NGO/NPOの基盤強化のために必要とされること |
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第5章 森林保全活動を行っている企業とNGO/NPOのデータベース構築 | |
第6章 民間企業の参画促進に関する情報収集 | |
(1)CDM植林 (2)REDDプラス (3)CCBスタンダード(気候・地域社会・生物多様性プロジェクト設計スタンダード) (4)生物多様性オフセット (5)BBOP(ビジネスと生物多様性オフセットプログラム) (6)森林認証制度 |
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第7章 各国における森林の現況等に関する情報収集 | |
(1)インドネシア共和国 (2)マレーシア (3)フィリピン共和国 (4)タイ王国 (5)ベトナム社会主義共和国 (6)ブラジル連邦共和国 (7)中華人民共和国 |
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第8章 国際機関を通じた森林保全分野への支援 | |
(1)ITTOの概要と取組 (2)パートナーシップの特色 (3)プロジェクトなどの取組事例 |
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第9章 パートナーシップによる森林保全活動に関する普及・啓発 | |
(1)フォレストパートナーシップ・プラットフォームの宣伝 (2)リーフレットの作成 |
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添付資料 | |
添付資料1 企業及びNGO/NPO の森林保全活動等の情報収集のためのアンケート調査票 添付資料2 企業及びNGO/NPO の森林保全活動等の情報収集のためのアンケート調査結果 添付資料3 リーフレット |