環境条約シリーズ 383第59回国際熱帯木材理事会 現行協定の再延長

2024年02月20日グローバルネット2024年2月号

前・上智大学教授
磯崎 博司(いそざき ひろじ)

 2023年11月13日から17日に、国際熱帯木材協定(ITTA)(本誌14年10月)の第59回国際熱帯木材理事会(ITTC:締約国会議に相当)が、タイのパタヤにおいて開催され、5つの決議が採択された。そのうち、決議2は24–25年の管理予算について、決議3は24–25年の作業計画についてであった。

 決議1は、生産国による新規提案8件(事業7件と準備事業1件)を承認するとともに、生産国による事業5件と事務局による活動25件に対して約616万米ドル(約8.4億円:日本からの約1.1億円を含む)の任意拠出を確定した。次に、決議4は管理予算の運営についてであり、管理予算に対する分担金の滞納により事業提案書および構想概略書を提出できない加盟国に対し、滞納2年分の支払いごとに事業提案書または構想概略書を1件提出(ただし、滞納全体の支払い計画の同時提出を条件として)できるようにするための試行措置を設定した。

 また、決議5は、現行協定(ITTA 2006)の有効期間(当初10年間:5年間の延長により26年12月6日まで)を29年12月6日まで3年間再延長することについてであり、その再延長については異論がなかったので、会合は開かずに24年5月27日までの電子投票に基づいて6月1日までに結論を出すこと、また、作業部会を拡大し、今後の新協定の交渉に向けて検討項目の洗い出しを始めることを決定した。

 そのほかの関連会合では、森林減少に関わらない産物のためのEUの新規則に関する11月14日の会合において、対象農林産物の生産国は、市場への制限・各国の対策への悪影響・小規模生産者への配慮や生産国との事前協議が不十分なことなどに強い懸念を示した。また、15日には、ITTAとUNFF(国連森林フォーラム)との間で、熱帯林の持続可能な管理を通じた森林産物の生産の増加に向けて、広範な協力・連携のための共同行動に関する覚書が締結された。

 次回の第60回ITTCは、24年12月上旬に横浜市で開催される予定である。

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