環境の本伊藤健次の北の生き物セレクション
2023年11月15日グローバルネット2023年11月号
伊藤健次の北の生き物セレクション
著●伊藤 健次
著者は北海道岩見沢市在住の自然写真家。本書では、北海道、千島列島、樺太(サハリン)、ロシア沿海地方の動植物の姿が、まるで著者の撮影に同行させられているような、生き生きした写真と文章で記録されている。
エゾシカに被写体としての魅力を感じる一方、自らの食料としても考えてしまうといった、複雑な感情も記している。ロシア沿海地方の先住民族・ウデヘ族の猟師との出会いをきっかけに、著者も自ら狩猟を実践するようになった。あとがきで「写真に収めるだけでなく、野生の生き方を見習って暮らしたい」と語っているように、写真家としてだけでなく、筆者自身も一つの生き物として北の大地の恵みを受け取り、その魅力を伝えようとしている。(北海道新聞社、2,000円+税)