フロント/話題と人堀内 葵さん(G7市民社会コアリション2023事務局、国際協力NGOセンター(JANIC)シニアアドボカシーオフィサー)
2023年04月14日グローバルネット2023年4月号
市民の声をG7首脳に
~国内外の市民社会組織をコーディネート~
5月19~21日に開催されるG7広島サミット。昨年5月に設立された「G7市民社会コアリション2023」は、G7各国政府に対して日本の市民社会の声を集め、政策への反映を目指して活動してきた。その事務局の責任者である堀内さんは、G7以外の国も含めた世界中の市民社会(Civil Society)を巻き込み、政策提言を行うエンゲージメントグループ「Civil 7(C7)」の運営委員も務めている。
C7では、気候・環境、経済、国際保健、人道、社会・人権、そして開催地・広島の市民団体の提案により新設された「核兵器廃絶」の6つのワーキンググループ(WG)が政策提言書をまとめ、4月13~14日のC7サミット(東京)で日本の政府代表に手渡す※。5月の首脳会合期間中も、現地でC7の成果発表、G7首脳宣言についての記者会見などを企画している。
この1年間、「環境保護、教育、保健などさまざまな分野で活動する国内の市民団体と国際会議での経験がある国際NGOの連携により、現場の課題や声を国の政策に届けることができる」と、日本各地の市民団体にコアリションへの参加を呼びかけてきた堀内さん。閣僚会合の開催地域で活動する市民団体に声をかけ、月1回の情報交換会などを通して各地の活動を後押ししてきた。その結果、札幌市(気候・エネルギー・環境大臣会合)、大阪府(貿易大臣会合)、岡山県(労働雇用大臣会合)など、各地の閣僚会合のテーマに合わせた勉強会やイベントが、既に盛んに企画・実施されている。
学生の頃留学したデンマークで、経済学や農業などのさまざまな視点で環境問題を考える機会を得た経験から、複合的な課題に多角的視点で取り組むことを重視し活動してきた堀内さん。今回のC7でも、気候・環境WGから「環境政策に分野横断的視点を取り込むべき」という提言があり、その他のWGの提言書も環境問題に言及するなど、「複合的・分野横断的な提言がいくつも見られた」と振り返る。「相互に関連する現代の課題は、一分野だけでは解決できない。この視点をG7首脳にも届けて議論を促していきたい」と、広島会合への意気込みを語った。(克)
※インタビューは3月末に行いました。