フロント/話題と人善積 真吾さん(株式会社カマン代表取締役)

2023年01月16日グローバルネット2023年1月号

ごみの出ないテイクアウトを実現
~リユース容器シェアリングサービス「Megloo」~

善積 真吾(よしづみ しんご)さん
株式会社カマン代表取締役

「ごみの出な気持ちの良いテイクアウト文化を広めたい」――コロナ禍で使い捨て容器を使ったテイクアウト(飲食物の持ち帰り)を始める飲食店が増える中、地域共通のリユース容器シェアリングサービス「Megloo(メグル―)」の導入が各地で広がっている。

Meglooを運営する株式会社カマンの善積さんは大学卒業後、ソニー株式会社で16年間勤務。休日に散歩中、「パパ、はい、ごみ!」と、長男から路上に落ちているごみを手渡された。長男はごみを拾うよう保育園で習ってきたようだが、善積さんは「子どもにごみのない豊かな社会を残したい」と思うようになり、「大企業の中ではなく、自分が住む鎌倉市から地域の魅力をつくり、発信していきたい」と、2020年に地域の新規事業創出をサポートするカマンを創業した。

コロナ禍で店内での飲食が制限される中、市内のテイクアウト可能な飲食店を調査し、マップを作成して公開した。すると「自分の容器を持ち込んで使える店舗を知りたい」という問い合わせが複数あったことから、Meglooを考案した。

使い方はとても簡単。利用者はコミュニケーションサービスアプリLINEを使ってMeglooの対応店舗でのテイクアウトを予約し、店舗でLINE画面を提示して受け取る。使用後の容器は専用の返却ボックスや対応店舗に返却され、店舗で洗浄、再び使用される。

21年10月から鎌倉市内を皮切りに、都内の飲食店や商店街、F1日本グランプリなどでも実証実験を続けた結果、需要があり、運用もスムーズにできることを確信したという。当初は海外の既製品を使用していたが、テイクアウトに適した密閉性や機能性の高い独自の容器もデザインした。22年10月には、デリバリー(配達)サービスでもリユース容器が受け入れられるか、都内の加盟店舗を対象に検証。さらに今年1月下旬には商業施設内の飲食店での利用可能性を探る実証実験も予定されている。

「Meglooには『容器が巡る』という意味と、『ごちそうさま』『ありがとう』という気持ちも地域で巡るという思いも込めています」と善積さん。鎌倉から全国へ、Meglooの輪が少しずつ巡っていきそうだ。(M)

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