環境の本稲の多年草化栽培~小規模自給農への新たな道
2022年12月15日グローバルネット2022年12月号
稲の多年草化栽培 小規模自給農への新たな道
著●小川 誠
目を疑うような題名だ。日本の原風景である「田植え」をしなくても、毎年育つ稲があるという。読者が「ほんとかな」と思うのは当然で、神奈川県相模原市で不耕起・冬期湛水の稲作をしている筆者自身が、7年前に多年草化した稲に出会ってからは、「度肝を抜かれ」、「驚嘆の連続」だったという。本書は、その「事件」に対する筆者の「ワクワクドキドキ」を記したドキュメント。
田植えはしない、草取りもしない、肥料も与えない。するのは田んぼに水が入っているのを確かめるだけ、そして稲穂が垂れたら収穫するだけ、というのが稲の多年草化栽培。「怠け者の米作り」だと筆者は言うが、それが国民総農家主義を掲げて市民が農業に関わることを可能にし、日本の農業の崩壊、食料の危機を回避できると提言している。(地湧の杜、1,800円+税)