環境の本「新しいアイヌ学」のすすめ~知里幸恵の夢をもとめて

2022年10月17日グローバルネット2022年10月号

「新しいアイヌ学」のすすめ ~知里幸恵の夢をもとめて

著●小野 有五

本書では「アイヌが主体となって、アイヌを対象として、アイヌのためにする学問」の実践を提唱している。アイヌではない和人である著者は地理学の研究者である傍ら、25年にわたるアイヌの権利回復のために、あえてアイヌ学の分野では研究者ではない立場を公言して取り組んできた。本書はその詳細な記録である。

明治以降、現在では「北海道」と呼ばれるアイヌが暮らしてきた土地は日本政府の開発政策によって大きく改変され、アイヌが本来有する自然資源の権利は妨げられ続けている。2019年のアイヌ施策推進法の成立、民族共生象徴空間「ウポポイ」の開設、漫画『ゴールデンカムイ』の人気で注目を集めるアイヌへの理解を深めるために読んでみたい一冊。(藤原書店、3,300円+税)

タグ: