環境の本ゴミを生き返らせる “なおとみ流” リサイクルのヒストリー
2022年06月15日グローバルネット2022年6月号
ゴミを生き返らせる “なおとみ流”リサイクルのヒストリー
著●杉本 裕明
戦後、夫婦でリヤカーを引いて鉄くずや紙くずなどを集めて売る「屑や」からスタートし、今や月商100億円、従業員500人以上の廃棄物処理業者に成長した長野市の「直富商事」(木下繁夫社長)の、70年余にわたる物語。企業としての発展の記録だけでなく、三代の社長や家族、従業員、取引先の人びととの人間ドラマも丁寧に取材、書き込まれており、小説でも読むようにページをめくることができる。
コロナ禍で、同社が病院などから出る感染性廃棄物の収集・運搬を担っている現場のルポから始まる本書からは、廃棄物処理や公共施設の清掃などに携わるエッセンシャル・ワーカーに対する尊敬の念が伝わってくる。工場内にリサイクル資料館を造り、地元の子供たちに開放するなど、静脈産業としてリサイクル重視の循環型社会を目指す姿も詳しく紹介されている。(信濃毎日新聞社、1,600円+税)