環境の本街路樹は問い掛ける~温暖化に負けない〈緑〉のインフラ
2022年05月17日グローバルネット2022年5月号
街路樹は問いかける ~温暖化に負けない〈緑〉のインフラ
著●藤井 英二郎ほか
ドライブをしていると無残に枝を切られたケヤキ並木、桜やプラタナスの街路樹を見かける。道路に落ち葉が散る、民家の敷地に枝が伸びる、信号機が隠れてしまう、などが理由なのだろうか。温暖化が進む中、街路樹の気温を下げる効果や癒し効果などは、最も身近な温暖化適応策ではないのか。
日本の街路樹は世界的にも「寂しい状態」にあると言う本書によれば、街路樹を管理する道路管理者は、枝を短く切り詰めることを「基本剪定」にしている。一方、米国、フランス、ドイツなどでは「樹冠被覆率」(緑陰がどれぐらい広がるか)を基準に街路樹を育てるという。折から、明治神宮外苑の再開発で1,000本もの街路樹が伐採される予定だという。関係者は必読の書だ。(岩波書店、860円+税)