環境の本・脱炭素革命への挑戦 ~世界の潮流と日本の課題
・捨てないパン屋の挑戦 ~しあわせのレシピ

2021年10月15日グローバルネット2021年10月号

脱炭素革命への挑戦 ~世界の潮流と日本の課題

著●堅達 京子+NHK取材班

今年8月に承認されたIPCC 第1作業部会報告書で衝撃的だったのは、温暖化は人間活動によるものであると初めて断定したことだろう。その発表から時を置かずに出版された本書は、NHK環境キャンペーンの責任者として数多くの番組を制作してきた筆者が、日本を「脱炭素革命への挑戦」へ誘う一冊。

番組で取り上げてきた「脱炭素」へ向けたテーマは、科学、ビジネス、金融、ライフスタイルなど幅広い。本書では、わかりやすい言葉で事例を挙げ、「これから日本は『声を上げれば、未来は変えられる』国へと進化できるのか、今こそ日本のラストチャンスだ」と提言している。(山と溪谷社、1,600円+税)

 

 

 

 


捨てないパン屋の挑戦 ~しあわせのレシピ

著●井出 留美

パン職人の田村陽至さんが「捨てないパン屋」になるまでを、食品ロス問題ジャーナリストが描いたノンフィクション。

28歳の時に広島で3代続くパン屋を継いだ田村さんは、作っては売れ残るパンを捨てることは間違っていると感じていた。パン職人になる前、モンゴルで、命の恵みに感謝し慈しみを持って羊を解体して血の一滴も余すことなく調理し食べ切る遊牧民の姿を見ていた田村さんは、パンを捨て続ける現状を変えようと、フランスに渡りパン屋で修業を始める。フランスでは、パン屋がそれぞれおいしいパンを作り、売れ残らない仕組みが回っていた。その背景には日本人とは真逆の働き方や生き方があることに田村さんは気付く。

その理由の答えとなる、「捨てないパン屋」の、地球と人にとって優しい「しあわせのレシピ」とは何か。本書は、田村さんの歩みを通じて食品ロス問題を問う一冊。(あかね書房、1,300円+税)

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