フロント/話題と人たかまつ なな さん(お笑いジャーナリスト、(株)笑下村塾取締役)

2021年01月15日グローバルネット2021年1月号

お笑いで社会を理解する敷居を低くしたい
~『お笑い芸人と学ぶ、13 歳からのSDGs』を出版

たかまつ なな さん
(お笑いジャーナリスト、 (株)笑下村塾取締役)

国連の定めたSDGs(持続可能な開発目標)を題材にしたたかまつさんのトークは、学校、企業、自治体などのシンポジウムや研修に引っ張りだこ。硬い話をいかにわかりやすく、お笑いのネタにもしながら社会に広めるか。「地球の未来が危ない。解決を大人たちには任せておけない」という気持ちが彼女を突き動かす。

かつてフリルの付いたブラウスにスカート、白いソックスといったいでたちで「お嬢様芸」を売りにしていた異色の芸人だ。昨年10月、『お笑い芸人と学ぶ、13歳からのSDGs』(くもん出版)を出版。「大人たちは逃げ切れるかもしれませんが、子供たちに地球環境悪化のつけを回したくない」という思いから、あえて「13歳からの」と呼び掛け、重版されるほど評判だ。

たかまつさんが環境問題に目覚めたのは小学4年生の時。登山家の野口健さんが主宰する富士山のごみ拾いイベントに参加し、注射器やテレビ、バスまでが不法に捨てられている光景にショックを受け、同時に野口さんのユーモアを交えた巧みな話術に感動し、「お笑いを通して社会問題を世の中に伝えたい」と決意した。元来人見知りだったが、この体験がきっかけで何事にも積極的な人生を歩み始める。中学生になると大手新聞社の子供記者団に加わり、外務省主催の「国際理解・国際協力のための高校生の主張コンクール」では二度も優秀賞を受賞した。

一方で、「芸人の養成学校に行く学費を稼ぐために、懸賞金の出る論文コンクールにたくさん応募しました」と言うほど芸人になる夢は捨て切れず、お笑い芸人の登竜門といわれる2013年のR-1グランプリでは、アマチュアの立場で準決勝にまで勝ち進んだ。

2016年には、若者向けの「笑って学べる出張授業」を活動の柱とする「笑下村塾」を設立。2018年春に、NHK職員に採用されたが、二足のわらじに限界を感じ約2年半で退社した。2019年3月には漫才協会に加入。本格的にお笑い芸人の道を歩み始めた。

その後、アメリカ大統領選の現場へ飛び、自民党総裁選では各陣営を取材。「お笑いジャーナリスト」として、「お笑いで社会を理解する敷居を低くしたい」という夢の実現に向けて着々と進んでいる。(H)

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