フロント/話題と人東 靖弘さん(鹿児島県大崎町長)
2020年12月15日グローバルネット2020年12月号
サーキュラービレッジ構想で、未来に向かって持続する町づくり目指す
地域から出るごみの27分別で、リサイクル率が12年連続日本一の町として知られている鹿児島県大崎町。その大崎町が、県内の放送局や地域金融機関とともに「大崎町SDGs推進協議会」を立ち上げ、リサイクルだけに終わらない、世界の共通目標である持続可能な開発目標(SDGs)に沿った資源循環の地域づくりを目指すことを発表した。具体的には、2030年までに「使い捨て容器の完全撤廃、脱プラスチック実現」を達成するため、2024年までに町内で販売されるすべての消費材で使い捨て容器に代わる手段を提供し、2027年までに普及率80%を目指すとしている。
協議会立ち上げの背景について「リサイクル率83%の達成は、処分場の延命化という課題に住民一人ひとりがひたむきに取り組んできた結果。これを地域の活性化につなげたいと考えたのです」と東町長は語る。町の人口は1万3,000人だが、人口減少と高齢化が進んでいる。町内には高校以上の学校がないため、近隣の高校に進学した若者は、そのまま県外に就職するパターンが根付いている。町に戻って来たいと思っても30~40歳代の働き盛りの世代を受け入れる雇用が十分にない。「若者たちが大崎町に戻って来てもらう場をつくるために、環境を保全・再生する技術や取り組みの事業化などを、多様なステークホルダーに力を借りて、大崎町を舞台に進めたい」。
協議会では、例えば、繰り返し使える容器の導入を検討している消費財メーカーが、実証実験を大崎町で展開するという構想が検討されている。これ以外にも資源循環をテーマにしたさまざまな提案を受け入れる準備があるという。
「すべてのモノがリユース・リサイクルされて循環する町」、サーキュラービレッジ構想への町民の反応も前向きだ。協議会が描いたイラスト「未来の大崎町ビジョンマップ」を見て、「私たちがつくりたかった町はこれだったんだ!」と、ある町民が目を輝かせて話してくれたという。「世界の未来づくりにもつながる、大崎町の持続する町づくりに、多くの事業者の参加をお待ちしております」と東町長。2001年12月より町長を務める。76歳。(希)