フロント/話題と人梅田 温子さん(有限会社Papillon d’Or 代表取締役社長)
ノイハウス 萌菜さん(同社 広報担当)
2020年11月16日グローバルネット2020年11月号
「量り売り」を新しい生活スタイルの選択肢に
~ゼロウェイストを目指して~
持参した瓶や袋に商品を必要な分だけ入れ、重さを量って買う「量り売り」。梅田さんはこれをプラスチックごみと食品ロスを削減する新しい生活スタイルのための選択肢の一つとして社会に広げようとしている。
料理人として渡仏し、2005年に有機食材やワインを日本に輸入する会社を起業した梅田さんは、「環境に優しい」食材をプラスチックなどで包装しなければ販売できないことに矛盾を感じ、2017年に「量り売り」事業を開始。しかし当時はゼロウェイストをコンセプトにした量り売りに共感してくれる企業は少なかった。
そんな中、出会ったのが同じようにプラごみに疑問を感じ、ステンレス製ストローの販売を始めたノイハウスさんだ。ノイハウスさんは企業で働くかたわら製造工場探しからすべて一人で始め、プラスチックに替わるストローの販売にこぎつけた。梅田さんは19年7月に開催されたイベントでノイハウスさんと一緒に出店して意気投合。19年9月、都内に量り売りを実践するモデル店舗「nue by Totoya」をオープンした。
nueにはガラス瓶に入ったナッツ類や豆、パスタ、塩などが並ぶ。調達段階から、包装は最小限にするよう生産者に求めている。SNSなどでこの店について知った人たちが空き瓶やお菓子の袋など家にあった物を持参し、自分で入れて計量し精算する。「こんな買い物がしたかった、とわざわざ来てくれる人が多いんです」と店頭に立つノイハウスさんは言う。
1年以上実績を積み重ねたnueは、肉や魚などの生鮮食料品や日用品などをそろえ、売れ残った食材を調理するレストランも併設する新たな店舗で次のスタートを切る。ICチップ付きの使い回せる容器や高性能の計量器を導入し、利便性も重視する。
さらに、今年6月からオンライン講座「ゼロから始めるゼロウェイストショップ」を開講し、衛生・品質管理など量り売りに必要なノウハウを提供。「そんなお店を始めてみたかった」という人たちが全国から集まり受講し、問い合わせも増えているという。
「1店舗では意味がない。全国に同じ理念を持つ量り売り導入店を増やしていきたい」と梅田さん。「量り売り」からゼロウェイストの実現を目指す。(絵)