フロント/話題と人藤田 さなえさん(Actiwish合同会社代表)
ソーレン・クロマンさん(同社副代表)

2020年10月15日グローバルネット2020年10月号

「行動する人」を増やしたい
 ~日本でも「デモクラシー・フィットネス」がスタート

藤田 さなえさん(Actiwish合同会社代表)
ソーレン・クロマンさん(同社 副代表)

デモクラシー(民主主義)を実現するために必要な 「筋肉」を鍛えるフィットネス、北欧発祥の「デモクラシー・フィットネス」が日本で始まった。

運営するActiwishを2020年9月に立ち上げた藤田さんは49歳で英国に留学。デンマークのコペンハーゲン大学で日本語を教えた。一方、デンマーク人のソーレンさんは「世界で苦しむ人のために働きたい」という思いを抱き、「これからはアジア・日本が世界に良い影響を与える」と同大で日本語を専攻。「世界の子供のために働きたい」と思っていた当時、日本語会話担当だった藤田さんと思いを共有することになった。

その後二人はアジア各国を周り日本で法人を設立。教育、持続可能な開発目標(SDGs)などの分野で、日本・北欧・インドなどを拠点に活動してきた。「私たち自身が課題解決の当事者や専門家になるより、社会に向けて『行動する人』を増やす方が未来の世界のためになる。そしてその方法の一つはデモクラシー」と同じ世界を目指す二人は心強いパートナーだ。

デモクラシーの根底にあるのは「社会は私たち一人ひとりがつくる」という考えで、北欧では「生まれた時から社会の一員であり、年齢や立場に関係なく自分の意見を伝え、相手の意見を聴く」ことが当たり前になっている。二人は本家デンマークの団体から公認を受け、日本の文化・習慣に合わせて自らアレンジした「日本版フィットネス」を実践する。

「フィットネス」では、デモクラシーに必要な考え方や心、スキルを九つの筋肉(深聴筋/発言筋/反対表明筋/おとしどころ筋/まきこみ筋/行動筋など)に例え、「話す・聴く・考える」を参加者同士で数十秒~数分という短い時間で繰り返し行う。本来は対面で行うが、コロナ禍の現在はオンラインで開催。参加者からは「デモクラシーとは何かを考えた」「日々の生活に活用したい」「社会で自分に何ができるか考えた」「また参加したい」という声が多い。

「とくに高校生や大学生が日本での必要性を感じている。今後は大人だけでなく若者にも積極的に伝え、『行動する人』を増やしていきたい」と二人は語る。フィットネスへの参加は高校生・大学生は無料。(あ)

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