環境の本・日本の「原風景」を読む―危機の時代に
・「再エネ大国 日本」への挑戦
2020年07月15日グローバルネット2020年7月号
日本の「原風景」を読む ~危機の時代に
著●原 剛
筆者は、環境活動に貢献した世界の500人に贈られる国連のグローバル500・環境報道賞を受賞(1993年)したジャーナリスト。毎日新聞記者として、農業と環境、文化の関わりについての報道、出版が数多くあり、現在は早稲田環境塾の塾長を務めている。
「生活の場が危機にさらされた時の心構えを、文化の表現である風景、共感をもたらす可能性のある原風景から読み取り、混迷から蘇生への心の手がかりを得られないだろうか」と、筆者の旅は19世紀の英国の旅行作家・イザベラ・バードの奥州路から始まり、海、山、川、野鳥、里山の原風景をたどり、東日本大震災の被害からよみがえる宮沢賢治の海にたどり着く。筆者の熱い思いが伝わる一書である。(藤原書店、2,700円+税)
「再エネ大国 日本」への挑戦
著●山口 豊
テレビ朝日の「スーパーJチャンネル土曜」のメインキャスターとしておなじみの山口アナウンサーが、取材で訪れた日本各地の再生可能エネルギーの取り組みを紹介。日本の美しい山や清らかな川、田舎の人びとの温かい人柄を実感しながらも、人口減少が急速に進む地方の実態に危機感を抱いている。
日本が化石燃料の輸入に払ったお金は私たちが払った所得税19.9兆円(2018年度)とほぼ同じ年間19兆円(2018年度)。山口さんは、地域にたくさんある再生可能エネルギーを活用することにより、「海外へ流出」するお金を「地域内を循環」する流れに変えようと主張。静かなエネルギー革命が各地で進行していると述べている。(山と渓谷社、1,500円+税)