環境の本・ごみ育~日本一楽しいごみ分別の本
・ 原発フェイドアウト

2019年09月17日グローバルネット2019年9月号

ごみ育 ~日本一楽しいごみ分別の本

著●滝沢 秀一、イラスト●ニコ・ニコルソン

 本誌8月号のフロントで紹介した「本業はごみ清掃員、副業は芸人」と称するお笑いコンビ・マシンガンズの滝沢秀一さんの第三作目。「ごみ育」という造語が示すように、滝沢さんの7年間にわたるごみ清掃員の経験からの一問一答。滝沢さんは小学校1年生と3歳の保育園児の自分の子供たちにごみ育をしているというが、やさしい言葉と簡略な回答の中には、かなり含蓄のあるメッセージが込められており、大人にも読み応えがある。

 「お金をもらうために清掃員として働き始めたけど、ごみを通して色々なことを教えてもらった」という滝沢さんの心温まる50問だ。(太田出版、1,100円+税)

 

 

 

 


原発フェイドアウト

著●筒井 哲郎

 「プラント技術者の視点で原発の本質を考える」と帯にある。著者は、エンジニアリング会社で国内外の石油、化学、製鉄プラントの設計・建設に携わった技術者。再稼働計画、事故サイトの状況、組織と人間、福島の復興?とさまざまな角度から、「3・11原発事故」の現在を問うている。

 損害賠償請求訴訟を通して、「原子力工学」という狭い領域に解決を委ねるなど、苛烈な事故を経ても変わることのない日本社会の問題の一つひとつが明らかにされる。

 事故から8年が過ぎた今年、福島県内の原発10基すべての廃炉が正式決定されたが、後処理の課題難題は山積している。著者が委員を務める「原子力市民委員会」の主張を改めて理解することは、原発議論の本格化につながる。(緑風出版、2,500円+税)

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