フロント/話題と人村山 大知(むらやま だいち)さん(長野県上田高等学校 2年生)

2019年07月16日グローバルネット2019年7月号

「地域住民と政府、専門家の連携で野生生物との共存を」
G20 エネ・環境相会合でスピーチ

村山 大知(むらやま だいち)さん
(長野県上田高等学校 2年生)

「政府や自治体と専門家、地域住民の努力によって野生生物との共存は実現できる」。6月15日、長野県軽井沢町で開催されたG20エネルギー・環境関係閣僚会合で、各国・地域の代表を前に英語で訴えた。3分間のスピーチは「あっという間だった」という村山さんだが、終えた瞬間は達成感でいっぱいだったという。

開催地の軽井沢町で生まれ、現在も自宅から片道1時間かけて学校に通う村山さんは、小さい頃から生き物が好きだった。小学生の時に、熊を追い払うベアドッグ(熊対策犬)を導入してツキノワグマ被害対策に取り組む地元NPO団体の話を聞き、環境問題にも興味を持つようになり、高校入学後は、全校生徒が3年間かけて取り組む課題研究のテーマに「生態系保全」を選んだ。一方、課外活動では「英語を上手に使えるようになりたい」と英語班に入り、全日本高校模擬国連大会に出場するなど、英語力を磨いてきた。そんなことから、地元の高校生が国際感覚を身に付ける機会として国が県に提案した、G20でのスピーチという大舞台に、学校代表として抜てきされた。

1ヵ月前から課題研究の内容を英語に訳し、先生たちと推敲や練習を重ねて本番に挑んだ。スピーチでは「軽井沢は国際的な観光地、その豊かな自然は住民の誇り」「しかし残念なことに、町の発展によって野生生物と人間との間にあつれきが生じてしまった」とし、自治体と地域住民の連携による環境保全の重要性を強調、環境に関心を持つようになったきっかけとなったベアドッグの活動も事例として紹介した。

「日本の高校生がこんなことを考えているということを海外の人たちが少しでも心に留めてくれればうれしい」と村山さん。小さい頃は動物園の飼育員になりたいと思っていたそうだが、今は高校卒業後は大学へ進学し、生態系の保全についてもっと勉強してみたいと考えている。「今は本やインターネットで情報を探すばかりだけれど、大学ではもっと現場に出て自分の目でいろいろな世界を見てみたい」と言う。

今回の経験で自信をつけた村山さんが、地元で育んできた生き物への興味を、将来どんな手法で地域や世界の環境保全につなげていくのか、楽しみだ。(絵)

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