環境の本・地元経済を創りなおす―分析・診断・対策
・小さな地球の大きな世界 プラネタリー・バウンダリーと持続可能な開発
2018年08月20日グローバルネット2018年8月号
地元経済を創りなおす―分析・診断・対策
著●枝廣 淳子
書の帯に「何事も地元から いま2050年の日本の姿が決まる」と著者の熱い思いがつづられている。複雑な環境問題にシステム思考を取り入れ、解決の道筋を提示してきた著者が、今回は3年の歳月をかけて研究してきた地域経済の活性化について、システム思考によって明快な回答を示している。漏れバケツ、地域経済循環率、地域内乗数効果と耳慣れない言葉が登場するが、これを理解・実践することで力強く地域経済を創り直している海外、国内の自治体の事例も紹介されている。国の産業連関表をベースに地方自治体で産業連関表を作成することが広がりを見せているが、その作成方法についても簡潔にわかりやすく説明されている。
地域創生に関わる自治体関係者、地域の経済人、NGOにとって必読の書といえる。
(岩波新書、780円+税)
小さな地球の大きな世界 プラネタリー・バウンダリーと持続可能な開発
著●J.ロックストローム、M.クルム / 監修●武内 和彦、石井 菜穂子
著者は、水資源や地球の持続可能性を研究する科学者と破壊される自然、少数民族をテーマに取材する写真家。(公財)地球環境戦略研究機関の武内理事長らが監修、同機関の研究者らが翻訳に当たった。
科学的知見に基づいたプラネタリー・バウンダリー(地球の限界)について、豊富なデータと写真を使い、人類が「新たな苦難の時代」を迎えていると警告している。
本書が出版されたのは、日本列島が命の危険に関わる豪雨や熱波に襲われた7月。ページを開くと、「重大な10のメッセージ」という扉が目に飛び込んでくる。目を開こう、危機は地球規模で差し迫っている、予期せぬことが起こる、など。危機を体感し、地球の限界を実感できる良書。
(丸善出版、3.200円+税)