フロント/話題と人渡邊 和花さんボルネオ保全学生グループ(SGBC)中高生代表
黒田 峻平さんボルネオ保全学生グループ(SGBC)中高生副代表
2018年03月30日グローバルネット2018年3月号
ボルネオの素晴らしさ、未来につなげたい
中高生対象のボルネオ・スタディツアー参加者が中心となり、昨年10月に立ち上げた「ボルネオ保全学生グループ(SGBC)」。現在のメンバーは中学生から大学生の約30名、海城高校、新宿山吹高校、武蔵高校などから参加している。
2015年の冬から不定期に、都内の中学・高校の生物の教員が企画しているツアーでは、学校の枠を超えて集まった生徒たちがマレーシア・サバ州を訪れている。豊かな自然、ホームステイ先の人々の温かさ、森の恵みを生かした食事と緩やかな時間などボルネオの素晴らしさを満喫した。同時にアブラヤシ農園開発などのため熱帯林が減少し、生きる場を失ったオランウータンやゾウなどの野生動物が保護施設に閉じ込められている現実が、パーム油の消費国・日本にもつながっていることを知った。
一昨年冬のツアーの最終日、黒田さんたちは明け方3時まで自分たちに何ができるか話し込んだ。「生き物のためにもこの素晴らしい森が必要だということ、みんなに伝えたい」。帰国後、シンポジウムの開催、ポスター制作と発表、学園祭などさまざまな場所で発信を続ける中で、SGBCを立ち上げた。「ボルネオで感じたことを伝え行動する場作り。一人では難しくても仲間がいれば動ける」と渡邊さん。現在は4月のアースデイでのツアーやSGBCの活動紹介、5月6日に開催する森林に関する国際認証のシンポジウムの準備を進めながら、パーム油のユーザー企業へのアンケートも行っている。
伝える難しさも感じる。熱帯林を守る理由がわからない、環境より経済が大切という人にも納得してもらえないと、消費行動の変化にはつながらない。「生物と人が共存できる地球のために、日本に『資源を使うだけの国』にはなってほしくない」から、消費者や企業の人たちにどう伝えるか、考えながら活動している。
新宿山吹高校2年生の渡邊さんは将来、野生動物の獣医を目指し、海城高校1年生の黒田さんは「霊長類の研究者か、動物園の飼育員か、環境NGOもありかな」。若者たちと熱帯林との出会いは、未来を変える一歩につながっている。 (ぬ)