環境条約シリーズ 300生物多様性条約の締約国会議(COP13)でカンクン宣言が採択
2017年03月15日グローバルネット2017年3月号
前・上智大学教授
磯崎 博司(いそざき ひろじ)
2016年12月4~17日に、生物多様性条約の第13回締約国会議(COP13)およびカルタヘナ議定書と名古屋議定書の締約国会合(MOP)がメキシコのカンクンにおいて開催された。併せて開かれた閣僚級会合では、カンクン宣言が採択された。
COP13においては、愛知目標の2015年評価として、目標10および17は未達成であること、目標14および18の進捗は限定的であることが確認された。また、国別の目標設定や報告書作成に対しては持続可能な開発目標(SDGs)の考慮と生物多様性の主流化への貢献が求められ、進捗が評価された目標についてはさらに努力の強化が要請された。他方、戦略計画の一環である生物多様性の主流化に向けて、関連国際プロセスを通じた主流化の強化、分野別(農業、林業、漁業・水産養殖業、観光業)の主流化の強化、分野横断的主流化の強化、および、主要主体(企業、地方政府・自治体、先住民・地元共同体、科学界、女性)の参加が要請された。
その他、気候変動と生物多様性、森林の生物多様性、生態・生物学的に重要な海域、花粉媒介と食糧生産に関する評価、地球規模生物多様性概況、戦略計画2011-2020と愛知目標、侵略的外来種、合成生物学、遺伝資源の塩基配列情報、国別報告書などに関する決定が採択された。
カルタヘナ議定書のMOP8においては、議定書義務の遵守、能力構築、リスク評価とリスク管理、社会経済上の配慮に関する指針、名古屋・クアラルンプール補足議定書の早期実施、議定書の有効性評価、非意図的国際移動と緊急対策、トランジットおよび閉鎖施設での利用などに関する決定が採択された。
名古屋議定書のMOP2においては、ABS(遺伝資源の取得と利益配分)情報交換所、遵守委員会の手続き規則、議定書の有効性評価、能力構築と能力開発、多国間ABS資金メカニズム、遺伝資源の塩基配列情報などに関する決定が採択された。
COP14および議定書のMOPは、2018年にエジプトで開かれる予定である。