フロント/話題と人石田 由香理さん
認定NPO法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパン プロジェクトマネージャー
2017年03月15日グローバルネット2017年3月号
障害者の可能性を閉ざさない努力したら報われる社会に
「誰もが他者に対して何かできることがある社会。誰かに必要とされ、ともに生きる共生社会を目指したい」と語るのはフリー・ザ・チルドレン・ジャパン(FTCJ)でフィリピン障害者支援事業のプロジェクトマネージャーを務める石田さん。
1歳3ヵ月の時に病気で全盲となり、高校まで盲学校に通った。猛勉強をして国際基督教大学(ICU)に入学。「世界には環境や経済的な理由で学びたくても学べない人たちがいる。努力したら報われる社会にしたい」と、途上国の教育支援に関心を持ち、英国サセックス大学大学院で開発学を学んだ。
大学生の時に参加したFTCJのフィリピンでのスタディツアーで「日本人で目が見えないのになぜ英語が話せるのか」と、現地で非常に驚かれ、質問攻めにあったという。フィリピンでは視覚障害者の初等教育就学率は5%未満で、高校卒業までの教育を提供する国立盲学校は1校しかない。
「視覚障害を持つ私だからこそ、フィリピンで視覚障害者の環境改善に役立つことができるのではないか」と、この国立盲学校の教育環境を改善するために、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を集めるクラウドファンディングを行った。800万円を目標にしていたが、昨年11月中旬からの3ヵ月間で1,000万円近くの寄付が集まった。
クラウドファンディングにより資金集めだけでなく、視覚障害者を取り巻く状況や盲学校に関する情報を日本とフィリピンの両方に広く発信できた。さらに「視覚障害があっても国際協力分野で働ける。障害者の可能性を広げるためのロールモデルになれれば」と語る。
行動的な石田さんの原動力になっているのは、これまでお世話になった点訳ボランティアの方がた。無償でたくさんの時間を割いてサポートをしてくれた人たちに対して、自分のやりたいことをやり、充実した日々を過ごすことが唯一の恩返しになるのでは、と語る。
YouTubeに料理やメイク、衣服の選び方など一人暮らしの様子を公開した「視覚障害者の暮らし」は視聴回数7万回を超える。「プライベートも絶賛公開中です」と明るく語る。27歳 (M)