環境の本・燃える森に生きる―インドネシア・スマトラ島 紙と油に消える熱帯林
・もりモリさまの森

2016年09月15日グローバルネット2016年9月号

燃える森に生きる―インドネシア・スマトラ島 紙と油に消える熱帯林


文・写真●内田道雄  

シンガポールやマレーシア半島部ではすっかりおなじみになった煙害(ヘイズ)。健康被害をも引き起こすためその対策は急務だが、その原因として挙げられているのがインドネシア・スマトラ島の森林火災だ。スマトラ島で燃える森は、日本で私たちが日々使っているコピー用紙や植物油脂パーム油とつながっている。  

本書では、スマトラ島の自然林が植林地や農地へと姿を変え、森に依存する人々の暮らしが立ち行かなくなっている現実が、5年間で計7回、200日にわたり現地を取材した筆者の写真と文章でつづられている。  

「外国人である私たちに果たして何ができるのかと」と自問する筆者は、東南アジアの環境問題や少数民族を長年取材してきたフォトジャーナリスト。私たち森林問題に取り組む環境団体の心強いサポーターでもある。 (新泉社、2,400円+税)

もりモリさまの森


作●田島征三/絵●さとうなおゆき  

絵本作家の田島征三氏が20年かけて完成させた渾身の作。主人公リンタロウやそのおじいちゃんたちが、ケモノたちとともに森を破壊しようとする人間たちと闘う物語。「動物も人間も同じ大切な命を持っている」と、自然を壊し、物があふれる「使い捨て」の現代社会の人間の暮らしや行動を、ケモノの視点で批判的に描いている。  

田島氏は20年前、当時住んでいた東京都西多摩郡日の出町の森に計画された巨大処分場の建設反対運動に参加していた際、重機の間を逃げ惑っていたテンの子供を見て童話の創作を思い付いたという。  

イラストはかつて処分場推進派の新聞に絵を描いていたというさとうなおゆき氏。田島氏と出会い、彼の自然に対する熱い思いに共感し、美しい絵を添えている。 (理論社、1,400円+税)

タグ: