NSCニュース No.102/2016年7月日本企業はESGをどう認識しているか?(下)

2016年07月15日グローバルネット2016年7月号

ニッセイ基礎研究所、NSC幹事 川村 雅彦(かわむら まさひこ)

 

■ 企業の半数がESGは重要とするも、4割は判断に迷う

ESG(環境・社会・ガバナンス)について、今後は「かなり重要となる」あるいは「ある程度重要となる」と考える企業は、合計で約5割となる(図1)。他方、「それほど重要とならない」と「ほとんど関係ない」は、合わせても1割に満たない。ただし、「よくわからない」や「無回答」も少なくなく、合わせて約4割を占める。

図1 日本企業における今後のESGの重要性認識
(資料:「ニッセイ景況アンケート調査結果 2015年度上期調査」2015年8月より筆者作成)

つまり、日本企業のESGの重要性に対する認識は決して低くないものの、現状ではESGを判断しかねている企業も少なくない。

■ 海外展開や海外投資家を反映するESG認識

それでは、ESGの重要性認識に違いをもたらす要因は何か。詳細は省くが、次の仮説を導き出すことができる。①海外事業を行っていれば、ESGの認識は高い②外国人持株比率が高いほど、ESGの認識は高い(図2)。

図2-1 海外売上比率とESG重要度の関係(業種別)
資料:図1に同じ

図2-2 外国人株主比率とESG重要度の関係(業種別)
資料:図1に同じ

このことから、現時点では4割を占める「迷う企業」も、経営課題としてのESGについて、時代の流れの中で徐々に自ら判断できるようになることが期待される。

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