フロント/話題と人清水 イアンさん
国際環境NGO 350.org Japan フィールドオーガナイザー

2016年06月15日グローバルネット2016年6月号

「地球をハグして地球を大切にしよう」
気候変動問題の解決を訴える「地球人間・アースマン」

清水 イアン(しみず いあん)さん

今年4月、都内のアースデイのイベント会場に全身を青く塗り大きな地球の着ぐるみを着た「地球人間・アースマン」が登場した。「地球とハグしよう」と来場者たちに声を掛け、気候変動問題の解決を訴えた。

アースマンの正体は環境団体350.org Japanの清水イアンさんだ。イギリス人の父と日本人の母を持つ清水さんは東京育ち。大学入学後、授業と社会問題とのギャップに疑問を感じて1年間休学。障害児の療育に関わったり、音楽家を目指したり、進路を模索したが、「自分に変化を生み出す何か」が見つからないまま復学。その後環境社会学を学んだことで、自分の抱える問題意識の核は環境問題だと気付いたという。

清水さんは15~17歳の夏休み、母親にそれまで毎年のように家族で訪れていた宮古島に一人で行かされ、約1ヵ月間ダイビングショップの手伝いをした。脳裏に焼き付く当時の海や空の光景と、無我夢中だった時間が清水さんを環境保護活動へと駆り立てたという。

昨年、350.org.Japanに加わった。350.orgは180ヵ国以上で連携し、気候変動問題を解決するためのインターネットでのキャンペーンや草の根レベルの活動、抗議行動などを世界規模で展開する団体だ。日本でのイベントの企画などを担当することになった清水さんは、難しいと思われがちな環境問題を身近に感じてもらうきっかけになれば、とアースマンを発案し、自らアースマンに変身した。反響は予想以上。昨年11月、世界中で数千万人の人びとが参加したアクションと連携して都内で行われたアースパレードでは、たくさんの子供や大人に囲まれ、抱き合って記念写真を撮る「アースハグ」を数百人と実現した。

実は目立つことはそれほど得意ではなかったという清水さん。人前で声を張り上げ環境保護を訴えるアースマンは「自分へのチャレンジ」でもあり、今後の生き方も示してくれたという。

目下の目標は、銀行や保険会社など日本のすべての機関投資家の化石燃料や原発関連企業への投資撤退(ダイベストメント)を市民に呼び掛けること。「もっと多くの人に気候変動問題に関心を持ってもらうため、アースマンとして走り回りたい」。24歳。 (絵)

※地球が従来の環境を維持する上で上限となる大気中のCO2の濃度350ppmにちなんでいる

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