環境の本・北をめざして―動物たちの大旅行
・広島県の農業を知るとカープを応援したくなる
2016年03月15日グローバルネット2016年3月号
北をめざして―動物たちの大旅行
作●ニック・ドーソン、絵●パトリック・ベンソン、訳●井田徹治
春になった北極を目指して地球を大移動する、20種類近くの動物たちの旅を、やわらかい色合いの繊細なイラストでつづった絵本。最も心奪われたイラストは「イッカク」。クジラの仲間で長い牙を持つこの動物を初めて知った。もう一つがニシン。まん丸の目をしたニシンの群れが描かれたページでは、それぞれのニシンの表情を一つひとつ目で追ってしまった。
日本語訳をした井田さんは長年環境問題を追いかけている通信社の記者。日本語版では巻末に、彼の手により北極をめぐる環境問題について解説を書き下ろし、絵本に心を動かされた子どもたちに自分たちと北極のつながりを考えようと呼び掛けている。
今の子どもだけでなく、むかし子どもだった大人にも手に取ってもらいたい1冊。(福音館書店、1,600円+税)
広島県の農業を知るとカープを応援したくなる
著●吉田光宏
当誌で連載中の「日本の農業は生き残れるのか 広島県からの報告」の24回分を再構成して2015年12月に発行。著者は20年の新聞社勤務を経て独立。故郷広島に暮らしながら、国内外の農林水産業、自然環境問題などの取材、執筆を精力的に行っている。
知的障害者を雇用して農業と福祉、地域を元気にするビジネスモデルの先駆けとして注目される生協や、アイガモ農法をきっかけに、都会の人たちと交流が定着している農村など、県内で展開されているいろいろな挑戦を紹介している。
広島に限らず日本の農業が抱える問題は深刻だ。しかし同誌では、新しい試みに挑戦し続ける広島の農家を取り上げ、優勝への夢と希望を持ち続ける広島東洋カープの姿と重ね合わせて、エールを送っている。 (PRPH、750円+税)