NSCニュース No.100/2016年3月ニッポンハムグループにおける環境への取り組み
2016年03月15日グローバルネット2016年3月号
日本ハム株式会社コーポレート本部CSR 推進部
地球温暖化により世界的に異常気象などの環境問題が起きている今日において、生活者個人の意識改革とともに、企業においても地球環境に十分配慮し、環境負荷の少ない持続可能な社会の実現に向けた取り組みが求められています。
私たちニッポンハムグループは、地球環境が作り出した自然の中で、牛、豚、鶏などの生命を育み、その生命の恵みをいただいて企業活動を推進しています。生命を育む自然を守り、生命の恵みを余すことなく大切に生かすことが私たちの責任であると考えています。
1998年8月、ニッポンハムグループの環境に対する基本的な方針として「環境憲章」を制定しました。後の2011年4月には「環境憲章」を見直し、「ニッポンハムグループ環境方針」を定めました。従業員一人ひとりが環境方針に基づき、さまざまな環境保全活動に継続して取り組んでいます。その活動の定量的な目標として、ニッポンハムグループの新中期経営計画において三つの取り組みを掲げています。目標では「地球温暖化の防止」を目指したCO2排出量の削減、「省資源の取り組み」ではエネルギー・水の使用量および廃棄物発生量の削減、「再資源化の推進」では、廃棄物リサイクル率向上を掲げ、3ヵ年計画で取り組んでいます。
●環境情報の見える化
ニッポンハムグループでは、環境情報の見える化に向けて、企業活動で排出される温室効果ガスや廃棄物、排水などの環境情報を、「ECOハートR」というシステムを国内全事業所に導入し、月次で集約しています。
他方、製品・サービスの環境に関する情報を製品や広告などを通して、広く社会の皆様に伝えるものとして環境ラベル(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)があります。ニッポンハムグループではタイプⅢの環境ラベルに取り組んでいます。タイプⅢは、製品の環境負荷をライフサイクルアセスメント手法により、定量化して製品などに表示するもので、企業自身がデータを定量的に把握し、環境負荷の低減に向けたバロメーターとして活用されています。具体的な取り組みでは、2008年から、当社グループで育てたオーストラリア産牛肉で環境ラベル「エコリーフ」を取得し、2010年より「森の薫りR」(ハム、ソーセージなど)で「カーボンフットプリント」の取り組みを始めました(下図)。「カーボンフットプリント」は、「炭素の足跡」と直訳される通り、製品の一生(原材料の調達、原料の製品への加工、輸配送、保管、使用、廃棄・リサイクルまで)から発生する温室効果ガスの量をCO2に換算した「カーボンフットプリント・マーク」を製品に表示するもので、生活者の皆様に情報をお伝えし、環境意識の向上につながることを目指しています。
製品に表示された「カーボンフットプリント・マーク」とライフサイクル段階別のCO2 排出割合のグラフ
その一例として「森の薫りRロースハム」のライフサイクルから排出するCO2は230gです。このうち約65%は豚の飼育段階などにより発生するものです。また当社が工場で製品に加工する段階で占める割合は約23%です。このように工場の直接排出量よりも間接排出量の方が多いため、サプライチェーン全体を通しての排出量削減が求められています。
また、サプライチェーン全体にわたる広範囲の温室効果ガス排出量算定について、国際団体「GHGプロトコル」が発行する報告基準「スコープ3」があります。これは、サプライチェーン全体における温室効果ガス排出量の算定・報告を求めるもので、ニッポンハムグループにおいても2016年1月に2015年度の「スコープ3」を算定・公表しました。今後は「スコープ3」の分析を進め、サプライチェーン全体の削減に向けてどのように取り組みを進めていくか検討を進めていきます。この「スコープ3」の考え方は、企業単体ではなく、社会全体の環境負荷を削減する取り組みとして非常に大切なものと考えています。
ニッポンハムグループは、これからもステークホルダーの皆様とともに環境負荷の低減に努め、持続可能な社会の実現を目指します。