1 この条約により締約国会議を設置する。
2 締約国会議は、この条約の最高機関である。締約国会議は、その権限の範囲内で、この条約の効果的な実施を促進するために必要な決定を行う。締約国会議は、特に次のことを行う。
P 国の、小地域の、地域の及び国際的な段階において得られた経験に照らし、科学上及び技術上の知識の進展を基礎として、この条約の実施及びこの条約の下における制度的な措置に係る機能について定期的に検討すること。
Q 締約国が採用する措置に関する情報の交換を促進し及び円滑にし、第二十六条の規定に従って提出される情報を送付するための形式及び期限を決定し並びに報告書を検討し及びこれについて勧告すること。
R この条約の実施に必要と認められる補助機関を設置すること。
S 補助機関により提出される報告書を検討し、及び補助機関を指導すること。
T 締約国会議及び補助機関の手続規則及び財政規則をコンセンサス方式により合意し及び採択すること。
U 第三十条及び第三十一条の規定に従ってこの条約の改正を採択すること。
V 締約国会議の活動(締約国会議の補助機関のものを含む。)のための計画及び予算を承認し並びにこれらのための資金の調達に必要な措置をとること。
W 適当な場合には、適当な団体又は機関(国内若しくは国際の又は政府間若しくは民間のもののいずれであるかを問わない。)の協力を求め並びにこれらの団体又は機関の役務及びこれらの団体又は機関が提供する情報を利用すること。
X 努力の重複を避けつつ他の関連する条約との関係を促進し及び強化すること。
Y その他この条約の目的の達成のために必要な任務を遂行すること。
3 締約国会議は、第一回会合において、締約国会議の手続規則をコンセンサス方式により採択する。この手続規則には、この条約において意思決定手続が定められていない事項に関する意思決定手続を含む。この手続規則には、特定の決定の採択に必要な特定の多数を含むことができる。
4 締約国会議の第一回会合は、第三十五条に規定する暫定的な事務局が招集するものとし、この条約の効力発生の日の後一年以内に開催する。第二回から第四回までの通常会合は、締約国会議が別段の決定を行わない限り、毎年開催するものとし、その後は、通常会合は、二年ごとに開催する。
5 締約国会議の特別会合は、締約国会議が通常会合において決定するとき又はいずれかの締約国から書面による要請のある場合において常設事務局がその要請を締約国に通報した後三箇月以内に締約国の少なくとも三分の一がその要請を支持するときに開催する。
6 締約国会議は、通常会合ごとに、議長団を選出する。議長団の構成及び任務は、手続規則に定める。議長団の任命に当たっては、衡平な地理的配分を確保する必要性及び影響を受ける国である締約国(特にアフリカの締約国)が十分に代表されることを確保する必要性に十分な考慮を払う。
7 国際連合、その専門機関及びこれらの国際機関の加盟国又はオブザーバーであってこの条約の締約国でないものは、締約国会議の会合にオブザーバーとして出席することができる。この条約の対象とされている事項について認められた団体又は機関(国内若しくは国際の又は政府若しくは民間のもののいずれであるかを問わない。)であって、締約国会議の会合にオブザーバーとして出席することを希望する旨常設事務局に通報したものは、当該会合に出席する締約国の三分の一以上が反対しない限り、オブザーバーとして出席することを認められる。オブザーバーの出席については、締約国会議が採択する手続規則に従う。
8 締約国会議は、関連する専門知識を有する適当な国の機関及び国際機関が第十六条V、第十七条1R及び第十八条2Qの規定に関連する情報を自己に提供するよう要請することができる。
1 この条約により常設事務局を設置する。
2 常設事務局は、次の任務を遂行する。
P 締約国会議の会合及びこの条約により設置される補助機関の会合を準備すること並びに必要に応じてこれらの会合に役務を提供すること。
Q 常設事務局に提出される報告書を取りまとめ及び送付すること。
R 要請に応じ、影響を受ける国である開発途上締約国(特にアフリカの開発途上締約国)がこの条約に従って情報を取りまとめ及び送付するに当たり、当該影響を受ける国である開発途上締約国に対する支援を円滑にすること。
S 他の関係する国際団体及び国際条約の事務局との間で自己の活動を調整すること。
T 締約国会議の指導の下に、自己の任務の効果的な遂行のために必要な事務的な及び契約上の取決めを行うこと。
U この条約に基づく自己の任務の遂行に関する報告書を作成し、これを締約国会議に提出すること。
V その他締約国会議が決定する事務局の任務を遂行すること。
3 締約国会議は、第一回会合において、常設事務局を指定し、及びその任務の遂行のための措置をとる。
1 砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和することに関連する科学的及び技術的事項に関する情報及び助言を締約国会議に提供する締約国会議の補助機関として、科学技術委員会をこの条約により設置する。同委員会は、締約国会議の通常会合の際に開催され、学際的な性格を有し、及びすべての締約国による参加のために開放される。同委員会は、関連する専門分野に関する知識を十分に有している政府の代表者により構成する。締約国会議は、第一回会合において、同委員会の権限を決定する。
2 締約国会議は、関連する分野に関する専門知識及び経験を有する独立の専門家の名簿を作成し及び維持する。この名簿は、締約国から書面により受領した指名に基づき、学際的な取組方法及び地理的に広範に代表されることの必要性を考慮して作成する。
3 締約国会議は、必要に応じ、科学技術委員会を通じ砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和することに関連する科学及び技術の水準に関する特定の問題についての情報及び助言を締約国会議に提供する特別の小委員会を設置することができる。特別の小委員会は、学際的な取組方法及び地理的に広範に代表されることの必要性を考慮して、2の名簿から選ばれた専門家により構成する。当該専門家は、科学上の経歴及び現地における経験を有するものとし、科学技術委員会の勧告に基づいて締約国会議が指名する。締約国会議は、特別の小委員会の権限及び業務の態様を決定する。
1 科学技術委員会は、締約国会議の監督の下に、協力網を構成する単位となる意思を有する既存の関連する協力網、機関及び団体の調査及び評価を実施するために必要な措置をとる。当該協力網については、この条約の実施を支援するものとする。
2 科学技術委員会は、第十六条から第十九条までに規定する主題ごとの必要ヘの対処を確保するため、1に規定する調査及び評価の結果に基づき、地方、国及び他の段階における1に規定する単位から成る協力網の形成を円滑にし及び強化する方法及び手段について締約国会議に勧告する。
3 締約国会議は、2に規定する勧告を考慮して次のことを行う。
P 協力網の形成に最も適当な国の、小地域の、地域の及び国際的な単位を特定し並びに運用上の手続及び時間的枠組みを勧告すること。
Q すべての段階において協力網の形成を円滑にし及び強化するために最も適する単位を特定すること。
第五部 手続
1 締約国は、通常会合における審議のために、締約国会議に対し、常設事務局を通じて、自国がこの条約の実施のためにとった措置に関する報告書を送付する。締約国会議は、当該報告書の提出期限及び形式を決定する。
2 影響を受ける国である締約国は、第五条の規定に従って確立した戦略及びその実施に関連する情報について記述する。
3 影響を受ける国である締約国であって第九条から第十五条までの規定に従って行動計画を実施するものは、当該行動計画及びその実施について詳細に記述する。
4 情報の送付は、二以上の影響を受ける国である締約国が行動計画の枠組みの中で小地域又は地域の段階においてとった措置につき共同して行うことができる。
5 先進締約国は、行動計画の作成及び実施を援助するためにとった措置(自国がこの条約に基づいて供与した資金又は供与している資金に関する情報を含む。)を報告する。
6 1から4までの規定に従って送付された情報は、常設事務局が締約国会議及び関連する補助機関に対してできる限り速やかに送付する。
7 締約国会議は、要請に応じ、影響を受ける国である開発途上締約国(特にアフリカの開発途上締約国)がこの条の規定に従って情報を取りまとめ及び送付し並びに行動計画に関連する技術上及び資金上の必要を特定するに当たり、当該影響を受ける国である開発途上締約国に対する技術上及び資金上の支援の提供を円滑にする。
締約国会議は、この条約の実施に関して生ずる問題の解決のための手続及び制度を審議し及び採択する。
1 締約国は、この条約の解釈又は適用に関する締約国間の紛争を交渉又は紛争当事国が選択するその他の平和的手段によって解決する。
2 地域的な経済統合のための機関でない締約国は、この条約の解釈又は適用に関する紛争について、同一の義務を受諾する締約国との関係において次の紛争解決手段の一方又は双方を義務的なものとして認めることをこの条約の批准、受諾若しくは承認若しくはこれへの加入の際に又はその後いつでも、寄託者に対し書面により宣言することができる。
P 締約国会議ができる限り速やかに採択する附属書に定める手続による仲裁
Q 国際司法裁判所への紛争の付託
3 地域的な経済統合のための機関である締約国は、2Pに規定する手続による仲裁に関して同様の効果を有する宣言を行うことができる。
4 2の規定に基づいて行われる宣言は、当該宣言の期間が満了するまで又は書面による当該宣言の撤回の通告が寄託者に寄託された後三箇月が経過するまでの間、効力を有する。
5 宣言の期間の満了、宣言の撤回の通告又は新たな宣言は、紛争当事国が別段の合意をしない限り、仲裁裁判所又は国際司法裁判所において進行中の手続に何ら影響を及ぼすものではない。
6 紛争当事国が2の規定に従って同一の解決手段を受け入れている場合を除くほか、いずれかの紛争当事国が他の紛争当事国に対して紛争が存在する旨の通告を行った後十二箇月以内にこれらの紛争当事国が当該紛争を解決することができなかった場合には、当該紛争は、いずれかの紛争当事国の要請により、締約国会議ができる限り速やかに採択する附属書に定める手続により調停に付される。
1 附属書は、この条約の不可分の一部を成すものとし、「この条約」というときは、別段の明示の定めがない限り、附属書を含めていうものとする。
2 締約国は、附属書の規定をこの条約の各条の規定に基づく自国の権利及び義務に適合するように解釈する。
1 締約国は、この条約の改正を提案することができる。
2 この条約の改正は、締約国会議の通常会合において採択する。この条約の改正案は、その採択が提案される会合の少なくとも六箇月前に常設事務局が締約国に通報する。常設事務局は、また、改正案をこの条約の署名国に通報する。
3 締約国は、この条約の改正案につき、コンセンサス方式により合意に達するようあらゆる努力を払う。コンセンサスのためのあらゆる努力にもかかわらず合意に達しない場合には、改正案は、最後の解決手段として、当該会合に出席しかつ投票する締約国の三分の二以上の多数による議決で採択する。採択された改正は、常設事務局が寄託者に通報するものとし、寄託者がすべての締約国に対し批准、受諾、承認又は加入のために送付する。
4 改正の批准書、受諾書、承認書又は加入書は、寄託者に寄託する。3の規定に従って採択された改正は、当該改正の採択の時に締約国であったこの条約の締約国の少なくとも三分の二の批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託者が受領した日の後九十日目の日に、当該改正を受け入れた締約国について効力を生ずる。
5 改正は、他の締約国については、当該他の締約国が当該改正の批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託者に寄託した日の後九十日目の日に効力を生ずる。
6 この条及び次条の規定の適用上、「出席しかつ投票する締約国」とは、出席しかつ賛成票又は反対票を投ずる締約国をいう。
1 この条約の追加の附属書及び附属書の改正は、前条に定める条約の改正のための手続を準用して提案され及び採択される。ただし、追加の地域実施附属書又は地域実施附属書の改正の採択に当たっては、同条に定める三分の二以上の多数による議決については当該附属書に係る地域の出席しかつ投票する締約国の三分の二以上の多数票を含むことを条件とする。附属書の採択又は改正については、寄託者がすべての締約国に通報する。
2 1の規定に従って採択された附属書(追加の地域実施附属書を除く。)又は附属書の改正(地域実施附属書の改正を除く。)は、寄託者がその採択を締約国に通報した日の後六箇月で、その期間内に当該採択された附属書又は当該改正を受諾しない旨を寄託者に対して書面により通告した締約国を除くほか、この条約のすべての締約国について効力を生ずる。当該採択された附属書又は当該改正は、当該通告を撤回する旨の通告を寄託者が受領した日の後九十日目の日に、当該通告を撤回した締約国について効力を生ずる。
3 1の規定に従って採択された追加の地域実施附属書又は地域実施附属書の改正は、寄託者が当該追加の地域実施附属書又は当該改正の採択を締約国に通報した日の後六箇月で、次の締約国を除くほか、この条約のすべての締約国について効力を生ずる。
P 当該六箇月の期間内に当該追加の地域実施附属書又は当該改正を受諾しない旨を寄託者に対して書面により通告した締約国。この締約国が当該通告を撤回する場合には、当該追加の地域実施附属書又は当該改正は、その撤回の通告を寄託者が受領した日の後九十日目の日に、この締約国について効力を生ずる。
Q 第三十四条4の規定に従って追加の地域実施附属書又は地域実施附属書の改正に関する宣言を行った締約国。この締約国が当該追加の地域実施附属書又は当該改正の批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託者に寄託する場合には、当該追加の地域実施附属書又は当該改正は、その寄託の日の後九十日目の日に、この締約国について効力を生ずる。
4 附属書又は改正の採択がこの条約の改正を伴うものである場合には、採択された附属書又は改正は、この条約の改正が効力を生ずる時まで効力を生じない。
1 この条約の各締約国は、2に規定する場合を除くほか、一の票を有する。
2 地域的な経済統合のための機関は、その権限の範囲内の事項について、この条約の締約国であるその構成国の数と同数の票を投ずる権利を行使する。当該機関は、その構成国が自国の投票権を行使する場合には、投票権を行使してはならない。その逆の場合も、同様とする。
この条約は、千九百九十四年十月十四日及び十五日にパリにおいて、国際連合又はその専門機関の加盟国、国際司法裁判所規程の当事国及び地域的な経済統合のための機関による署名のために開放される。その後は、この条約は、千九百九十五年十月十三日まで、ニュー・ヨークにある国際連合本部において署名のために開放しておく。
1 この条約は、国及び地域的な経済統合のための機関により批准され、受諾され、承認され又は加入されなければならない。この条約は、この条約の署名のための期間の終了の日の後は、加入のために開放しておく。批准書、受諾書、承認書又は加入書は、寄託者に寄託する。
2 この条約の締約国となる地域的な経済統合のための機関で当該機関のいずれの構成国もこの条約の締約国となっていないものは、この条約に基づくすべての義務を負う。当該機関の一又は二以上の構成国がこの条約の締約国でもある場合には、当該機関及びその構成国は、この条約に基づく義務の履行につきそれぞれの責任を決定する。この場合において、当該機関及びその構成国は、この条約に基づく権利を同時に行使することができない。
3 地域的な経済統合のための機関は、この条約の規律する事項に関する当該機関の権限の範囲をこの条約の批准書、受諾書、承認書又は加入書において宣言する。当該機関は、また、その権限の範囲の実質的な変更を寄託者に速やかに通報し、寄託者は、これを締約国に通報する。
4 締約国は、自国の批准書、受諾書、承認書又は加入書において、追加の地域実施附属書又は地域実施附属書の改正がこれらの自国の批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託する場合にのみ自国について効力を生ずるとの宣言を行うことができる。
第二十三条に規定する事務局の任務は、締約国会議の第一回会合が終了するまでの間、国際連合総会が千九百九十二年十二月二十二日の決議第百八十八号(第四十七回会期)によって設置した事務局が暫定的に遂行する。
1 この条約は、五十番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の日の後九十日目の日に効力を生ずる。
2 この条約は、五十番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の後にこれを批准し、受諾し若しくは承認し又はこれに加入する国又は地域的な経済統合のための機関については、当該国又は機関による批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の日の後九十日目の日に効力を生ずる。
3 地域的な経済統合のための機関によって寄託される文書は、1及び2の規定の適用上、当該機関の構成国によって寄託されたものに追加して数えてはならない。
この条約には、いかなる留保も付することができない。
1 締約国は、自国についてこの条約が効力を生じた日から三年を経過した後いつでも、寄託者に対して書面による脱退の通告を行うことにより、この条約から脱退することができる。
2 1の脱退は、寄託者が脱退の通告を受領した日から一年を経過した日又はそれよりも遅い日であって脱退の通告において指定されている日に効力を生ずる。
国際連合事務総長は、この条約の寄託者とする。
アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とするこの条約の原本は、国際連合事務総長に寄託する。
以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの条約に署名した。
千九百九十四年六月十七日にパリで作成した。