附属書I アフリカのための地域実施附属書

 

第一条 適用範囲

 この附属書は、アフリカの乾燥地域、半乾燥地域及び乾燥半湿潤地域において砂漠化に対処し又は干ばつの影響を緩和するため、各締約国との関係において、この条約(特にその第七条の規定)に基づいてアフリカに適用される。

第二条 目的

 この附属書は、アフリカの国、小地域及び地域の段階において、アフリカの特別の状況に照らして次のことを行うことを目的とする。

P この条約の関連規定に従って措置及び取決め(先進締約国が提供する援助の性質及び手続を含む。)を特定すること。

Q アフリカに特有の状況に対応するためにこの条約の効率的かつ実際的な実施について定めること。

R アフリカの乾燥地域、半乾燥地域及び乾燥半湿潤地域において砂漠化に対処し又は干ばつの影響を緩和することに関連する手続及び活動を促進すること。

第三条 アフリカ地域の特別の状況

 締約国は、この条約に基づく自国の義務を履行するに当たり、この附属書の実施において次のアフリカの特別の状況を考慮した基本的な取組方法を採用する。

P 乾燥地域、半乾燥地域及び乾燥半湿潤地域の占める割合が高いこと。

Q 砂漠化及び深刻な干ばつの頻繁な発生によって相当数の国及び住民が悪影響を受けていること。

R 影響を受ける国である内陸国が多数あること。

S 貧困が大部分の影響を受ける国においてまん延し、後発開発途上国が影響を受ける国の中の多数を占め及び影響を受ける国が開発目的を追求するために外部からの相当の援助(贈与及び緩和された条件による貸付けの形式によるもの)を必要としていること。

T 交易条件の悪化及び変動、対外債務並びに政治上の不安定性によって社会経済上の困難な状況が深刻化し、これにより国内的、地域的及び国際的な移住が引き起こされていること。

U 住民がその生存を天然資源に大きく依存していることが人口学的な動向及び要素、ぜい弱な技術的基盤並びに持続可能でない生産方法の影響と複合して深刻な資源の劣化の一因となっていること。

V 制度上の及び法的な枠組み、経済基盤並びに科学上、技術上及び教育上の能力が不十分であるために相当の能力育成が求められていること。

W 砂漠化に対処し又は干ばつの影響を緩和するための行動がアフリカの影響を受ける国の開発において優先される事項として中心的役割を占めていること。

第四条 アフリカの締約国の約束及び義務

1 アフリカの締約国は、自国の能力に応じて次のことを約束する。

P 貧困を撲滅するための努力において、砂漠化に対処し又は干ばつの影響を緩和することを中心的な戦略として採用すること。

Q 相互の利益に基づく連帯及び連携の精神をもって、砂漠化に対処し又は干ばつの影響を緩和するための計画及び活動において地域的な協力及び統合を促進すること。

R 砂漠化及び干ばつに関係する既存の機関を一層効果的なものとし及び資源の一層効率的な利用を確保するため、当該既存の機関を合理化し及び強化し並びに、適当な場合には、他の既存の機関を関与させること。

S アフリカの締約国の間で適当な技術、知識、ノウハウ及び慣行に関する情報を交換することを促進すること。

T 砂漠化又は干ばつによって劣化した地域において干ばつの影響を緩和するための緊急時計画を作成すること。

2 アフリカの影響を受ける国である締約国は、条約の第四条及び第五条に規定する一般的義務及び特別の義務に従って次のことを目標とする。

P 自国の状況及び能力に応じ並びにアフリカが砂漠化又は干ばつの現象を新たに優先させたことに照らして、自国の予算から適当な資金の配分を行うこと。

Q 一層の分権化及び資源に係る権利の強化に向けて現に実施中の改革を維持し及び強化し並びに地方の住民及び地域社会の参加を強化すること。

R 新規のかつ追加的な国の資金を特定し及び調達し並びに国内の資金を調達するための国の既存の能力及び制度を優先して拡充すること。

第五条 先進締約国の約束及び義務

1 先進締約国は、条約の第四条、第六条及び第七条の規定に基づく義務を履行するに当たり、アフリカの影響を受ける国である締約国を優先させるものとし、このこととの関連において次のことを行う。

P 貧困の撲滅を中心的な戦略として採用することを考慮の上、相互の合意により及び自国の政策に従い、特に、資金その他の資源の取得の機会を提供し又はその取得を円滑にすること並びに適当な環境上の技術及びノウハウの移転、適応及び取得の機会を促進し、これらに資金を供与し又はその供与を円滑にすることによって、これらの締約国が砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和することを援助すること。

Q 砂漠化に対処し又は干ばつの影響を緩和するために相当の資源を継続して配分し又は資源を増加させること。

R 砂漠化に対処し又は干ばつの影響を緩和するためにアフリカの影響を受ける国である締約国が自国の制度上の枠組み、科学的及び技術的能力、情報の収集及び分析並びに研究及び開発を改善することが可能となるよう当該締約国が自国の能力を強化することを援助すること。

2 他の締約国は、アフリカの影響を受ける国である締約国に対して砂漠化に関連する技術、知識及びノウハウ又は資金を任意に提供することができる。当該技術、知識及びノウハウの移転は、国際協力によって円滑に行われる。

第六条 持続可能な開発のための戦略的な計画作成の枠組み

1 国家行動計画については、アフリカの影響を受ける国である締約国の持続可能な開発に関する政策を策定する一般的な手続の中心的なかつ不可分の一部とする。

2 地方の住民及び地域社会からの最大限の参加が可能となる弾力的な計画作成によって戦略についての指針を与えるため、政府の適当な段階、地方の住民、地域社会及び非政府機関が関与する参加型の協議手続を実施する。二国間及び多数国間の援助機関は、適当な場合には、アフリカの影響を受ける国である締約国の要請によりこの手続に関与することができる。

第七条 行動計画の作成のための期限

 アフリカの締約国は、この条約が効力を生ずるまでの間、適当な場合には国際社会の他の構成員と協力して、できる限り、国家行動計画並びに小地域及び地域の行動計画の作成に関連するこの条約の規定を暫定的に適用する。

第八条 国家行動計画の内容

1 国家行動計画の全般的な戦略においては、条約第十条の規定に従い、参加型の制度に基づき並びに砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための努力に貧困の撲滅のための戦略を組み入れることを基礎として、影響を受ける地域の総合的な地方の開発計画を重視する。国家行動計画においては、教育、訓練、専門的知識を有する非政府機関の動員及び分権化された政府組織の強化を重視して、地方当局の能力を強化し並びに地方の住民、地域社会及び集団の積極的な関与を確保することを目的とする。

2 国家行動計画には、適当な場合には、一般的な特性として次のことを含める。

P 国家行動計画を作成し及び実施するに当たり、社会的、経済的及び生態学的な条件を考慮して、砂漠化に対処し又は干ばつの影響を緩和することについての過去の経験を利用すること。

Q 砂漠化又は干ばつの一因となっている要素並びに利用可能な及び必要な資源及び能力を特定すること並びに砂漠化若しくは干ばつの現象に対処し又はその影響を緩和するために必要とされる適当な政策及び制度上その他の対応措置を策定すること。

R 女子、農民及び牧畜民を含む地方の住民及び地域社会の参加を増加させること並びにこれらの住民及び社会に一層の管理責任を委任すること。

3 国家行動計画には、また、適当な場合には次の措置を含める。

P 貧困の撲滅のために経済的環境を改善するための措置であって次のことを行うもの

=@次のものによって特に地域社会の最も貧しい構成員のために収入及び雇用機会を増加させること。

農産物及び畜産物の市場の開発

地方の必要に適する金融上の手段の創出

農業の多様化の奨励及び農業についての事業体の設立

農業に関連する又は農業以外の形態の経済活動の発展

a@次のものを確立することによって農村経済の長期的な見通しを改善すること。

生産的な投資及び生産手段の取得を奨励する措置

価格及び税に係る政策並びに商慣行で成長を促進するもの

メ@土地に対する人口圧を軽減するために人口政策及び移住政策を定め及び適用すること。

п@食糧の安全保障のために干ばつに強い作物の利用及び総合的な乾燥地農業の体制の利用を促進すること。

Q 天然資源を保全するための措置であって次のことを行うもの

=@次のものを含む天然資源の総合的及び持続可能な管理を確保すること。

農地及び牧草地

植生及び野生動植物

森林

水資源

生物の多様性

a@啓発及び環境教育の運動について訓練し及びこれらの運動を強化すること並びに天然資源の持続可能な管理に関連する技術についての知識を普及すること。

メ@ぜい弱な天然資源に対する圧力を緩和するため、多様なエネルギー源の開発及び効率的な利用、代替エネルギー源(特に太陽及び風のエネルギー並びにバイオガス)の促進並びに関連する技術の移転、取得及び適応のための具体的な取決めを確保すること。

R 制度を改善するための措置であって次のことを行うもの

=@土地利用の計画の作成に係る政策の枠組みにおける中央政府及び地方当局の役割及び責任を定めること。

a@積極的な分権化のための政策を奨励し、管理及び意思決定の責任を地方当局に委任し並びに地方の地域社会による発意及び責任の負担並びに地方組織の確立を奨励すること。

メ@適当な場合には、地方の住民に対して土地に係る権利の保証を提供するための天然資源の管理に係る制度上及び規則上の枠組みを調整すること。

S 砂漠化に関する知識を増進するための措置であって次のことを行うもの

=@砂漠化の科学的、技術的及び社会経済的側面に関する研究並びに情報の収集、処理及び交換を促進すること。

a@理解を増進し及び分析の結果を運用することができるようにするため、研究並びに情報の収集、処理、交換及び分析についての国の能力を改善すること。

メ@次のものについての中期的及び長期的な研究を奨励すること。

影響を受ける地域における社会経済的及び文化的動向

天然資源の質的及び量的動向

気候と砂漠化との間の相互作用

T 干ばつの影響を監視し及び評価するための措置であって次のことを行うもの

=@自然な気候変化の地域的な干ばつ及び砂漠化に対する影響を評価し又は干ばつの影響を緩和するための努力において、季節ごとの気候変化から多年にわたる気候変化までの予測を利用するための戦略を策定すること。

a@早期警戒及び対応の能力を改善し、緊急の救済措置及び食糧援助を効率的に管理し並びに食糧の備蓄及び配給体制、家畜を保護するための制度並びに干ばつが起こりやすい地域における公共事業及び代替の生活手段を改善すること。

メ@より良い政策の策定及び対応を円滑にするため、資源の劣化の過程及び変遷に関する信頼し得るかつ時宜を得た情報を提供するために生態学的な劣化を監視し及び評価すること。

第九条 国家行動計画の作成並びにその実施及び評価のための指標

 アフリカの影響を受ける国である締約国は、自国の国家行動計画の作成、実施及び評価を促進する機関として機能する国の適当な調整のための機関を指定する。この機関は、第三条の規定に照らして、適当な場合には次のことを行う。

P 国の段階における関係者との最初の協議に基づいて行動の特定及び検討を実施すること。この特定及び検討については、地方の住民及び地域社会の参加並びに地方の行政当局、先進締約国、政府間機関及び非政府機関の協力を得て、地方の働きかけによる協議手続により開始する。

Q 開発及び持続可能な土地利用に影響を与える制約、必要及び格差を特定し及び分析し、実施中の関連する努力の十分な利用によって重複を避けるための実効的な措置を勧告し並びにその結果の実施を促進すること。

R 影響を受ける地域の住民の積極的な参加を確保し、事業活動の悪影響を最小にし、資金援助及び技術協力の要請を特定し並びにこの要請についての優先順位を決定するため、相互に作用する弾力的な取組方法に基づく事業活動を円滑にし及び立案すること。

S 短期的、中期的及び長期的な行動から成る国家行動計画並びにその実施の評価を確保するため、適切な、数値化された、かつ、容易に確認することができる指標を確立すること。

T 国家行動計画の実施に関する経過報告を作成すること。

第十条 小地域行動計画の組織上の枠組み

1 アフリカの締約国は、条約第四条の規定に従って、アフリカの中央部、東部、北部、南部及び西部のための小地域行動計画の作成及び実施に協力するものとし、この点に関して次の責任を関連する小地域の政府間機関に委任することができる。

P 小地域行動計画を作成する活動についての中央連絡先として行動し及び当該小地域行動計画の実施について調整すること。

Q 国家行動計画の作成及び実施を援助すること。

R 情報、経験及びノウハウの交換を円滑にし並びに国内法令の検討について助言を与えること。

S その他小地域行動計画の実施に関連する責任

2 小地域の専門的な機関は、要請に応じて、支援を提供し又は自己が能力を有する分野において活動を調整する責任を引き受けることができる。

第十一条 小地域行動計画の内容及び作成

 小地域行動計画においては、小地域の段階においてより良く対応することができる問題に視点をあてるものとし、必要に応じて共有の天然資源を管理するための制度を確立する。この制度においては、砂漠化又は干ばつに関連する国境を越える問題を効果的に処理し、及び調和のとれた国家行動計画の実施のために支援を提供する。小地域行動計画の優先される分野として、適当な場合には次のものに視点をあてる。

P 二国間及び多数国間の制度による国境を越える天然資源の持続可能な管理のための共同計画

Q 代替エネルギー源を開発するための計画の調整

R 害虫及び動植物の病気の管理及び抑制における協力

S 小地域の段階においてより良く実施し又は支援することができる能力育成、教育及び啓発の活動

T 特に気候学的、気象学的及び水文学的分野における科学上及び技術上の協力(資料の収集及び評価のための協力網、情報の共有並びに事業の監視を含む。)並びに研究及び開発の活動の調整及び優先順位の決定

U 干ばつの影響の緩和のための早期警戒体制及び共同の計画作成(環境上引き起こされた移住に起因する問題に対応する措置を含む。)

V 経験(特に地方の住民及び地域社会の参加に係るもの)を共有する方法の検討並びに改善された土地利用の管理及び適当な技術の利用を可能にする環境の創出

W 技術的業務を調整し及び提供する小地域の機関の能力の強化並びに小地域のセンター及び機関の設立、見直し及び強化

X 貿易その他の影響を受ける地域及び住民に影響を与える分野における政策(地域の市場の体制を調整し及び共通の経済基盤を整備するためのものを含む。)の策定

第十二条 地域行動計画の組織上の枠組み

1 アフリカの締約国は、条約第十一条の規定に従って、地域行動計画の作成及び実施のための手続を共同して決定する。

2 締約国は、関連するアフリカの地域の機関に対し、アフリカの締約国がこの条約に基づいて責任を果たすことを当該機関が援助することを可能にするために適切な支援を提供する。

第十三条 地域行動計画の内容

 地域行動計画には、適当な場合には、次の優先される分野において砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和することに関連する措置を含む。

P 重要な政策分野に関して地域のコンセンサスを得るための地域の協力の発展及び小地域行動計画の調整(小地域の機関の定期的な協議による発展及び調整を含む。)

Q 地域の段階においてより良く実施することができる活動における能力育成の促進

R 条約第四条2Qの規定を考慮して国際社会と共に行う影響を受ける地域に影響を与える地球的規模の経済的及び社会的問題についての解決策の探求

S アフリカの影響を受ける国である締約国及び小地域の間並びにアフリカと影響を受ける他の地域との間で情報、適当な技術、技術上のノウハウ及び関連する経験を交換することの促進、科学上及び技術上の協力の促進(特に気候学、気象学、水文学、水資源開発及び代替エネルギー源の分野におけるもの)、小地域及び地域の研究活動の調整並びに地域の研究及び開発についての優先順位の特定

T 組織的観測及び評価並びに情報の交換のための協力網の調整並びにその世界的な協力網への組入れ

U 小地域及び地域の早期警戒体制及び干ばつに対する緊急時計画の調整及び強化

第十四条 資金

1 アフリカの影響を受ける国である締約国は、条約第二十条及び第四条2の規定に従い、資金の調達に資する巨視的経済上の枠組みを提供するよう努力し並びに、適当な場合には、地方の開発計画に対する一層効果的な資金の供給(非政府機関を通ずるものを含む。)のための政策を策定し及び手続を定める。

2 締約国は、行動計画の実施を円滑にするため、条約第二十一条の4及び5の規定に従い、既存の資金を合理的に利用することを確保し及び資金の配分における格差を特定するための国の、小地域の、地域の及び国際的な段階における資金源の目録を作成することに合意する。この目録については、定期的に検討し及び更新する。

3 先進締約国は、条約第七条の規定に反することなく、特に、条約第四条2Qの規定に従って債務、国際貿易及び市場取引に十分な注意を払いつつ、第十八条に規定する連携に関する取決めに基づいて、アフリカの影響を受ける国である締約国に対して十分な又は増額された資金及び他の形態の援助を引き続き配分する。

第十五条 資金供与の制度

1 締約国は、アフリカの影響を受ける国である締約国を優先させることを強調し及びアフリカ地域に存在する特別の状況を考慮する条約第七条の規定に反することなく、特に次のことを行うことによって、条約第二十一条1のS及びTの規定をアフリカにおいて実施することに特別の注意を払う。

P 地方の段階に対して資金を供給するために砂漠化に関する国の基金のような制度の確立を円滑にすること。

Q 小地域及び地域の段階において既存の基金及び資金供与の制度を強化すること。

2 関連する地域及び小地域の資金供与のための機関(アフリカ開発銀行及びアフリカ開発基金を含む。)の管理に係る機関の構成国である締約国は、条約の第二十条及び第二十一条の規定に反することなく、この附属書の実施を推進するこれらの機関の活動を十分優先させ及び当該活動に十分注意を払うための努力を促進する。

3 締約国は、アフリカの影響を受ける国である締約国に対して資金を供給するための手続をできる限り整理する。

第十六条 技術援助及び協力

 締約国は、事業及び計画の有効性を高めるため、自国の能力に応じ、特に次のことによって、アフリカの締約国に対する技術援助及びアフリカの締約国との協力を合理化することを約束する。

P 事業の効率を最大にするため、いかなる場合にも補助的な措置に係る費用(特に間接費)が事業の総費用に対して適切に低い割合となるよう当該費用を制限すること。

Q 事業の立案及び実施に当たって当該アフリカの締約国内の能力を有する専門家又は必要な場合には小地域内若しくは地域内の能力を有する専門家の利用を優先させ並びに、地方に専門的知識がない場合には、その育成を優先させること。

R 提供される技術援助を効果的に管理し及び調整し並びに効率的に利用すること。

第十七条 環境上適正な技術の移転、取得、適応及び取得の機会

 締約国は、技術の移転、取得、適応及び開発に関連する条約第十八条の規定の実施に当たり、アフリカの締約国が砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための戦略を実施することを可能にするための科学的な研究及び開発並びに情報の収集及び普及の分野における能力育成を強化するため、当該アフリカの締約国を優先させ並びに、必要に応じて、当該アフリカの締約国と共に新たな形式の連携及び協力を発展させることを約束する。

第十八条 調整及び連携に関する取決め

1 アフリカの締約国は、国家行動計画並びに小地域及び地域の行動計画の作成、交渉及び実施について調整するものとし、適当な場合には、そのような過程に他の締約国並びに関連する政府間機関及び非政府機関を関与させることができる。

2 1に規定する調整については、資金上及び技術上の協力がこの条約に適合して行われることを確保すること並びに資源の利用及び管理に当たって必要な継続性が与えられるようにすることを目的として行う。

3 アフリカの締約国は、国、小地域及び地域の段階における協議手続を定める。この協議手続は、次のようなものとすることができる。

P 国家行動計画並びに小地域及び地域の行動計画に基づく連携に関する取決めについて交渉し及びこれを締結するための場として役立つもの

Q 当該計画に対するアフリカの締約国その他協議団体の構成員の貢献について定め並びに実施及び評価の指標についての優先順位及び取決め並びに実施のための資金供与の取決めを特定するもの

4 常設事務局は、アフリカの締約国の要請に応じ、条約第二十三条の規定に従い、次のことによって3に規定する協議手続の開始を円滑にすることができる。

P 他の協議についての取決めにおける経験を利用して効果的な協議についての取決めに関する助言を与えること。

Q 協議のための会合又は協議手続について二国間及び多数国間の機関に情報を提供し並びにこれらの機関の積極的な関与を奨励すること。

R 協議についての取決めを確立し又は改善することに関連する他の情報を提供すること。

5 小地域及び地域の調整のための機関は、特に次のことを行う。

P 連携に関する取決めについて適切な調整を勧告すること。

Q 合意された小地域及び地域の計画の実施について監視し、評価し及び報告すること。

R アフリカの締約国間の効率的な連絡及び協力を確保することを目標とすること。

6 協議団体への参加については、適当な場合には、政府、関心を有する集団及び拠出者、関連する内部機関、国際連合及びその関係機関の基金及び計画、小地域及び地域の関連する機関並びに関連する非政府機関の代表者に開放する。協議団体に参加する者は、その管理及び運営の態様を決定する。

7 先進締約国は、条約第十四条の規定に従い、国、小地域及び地域の段階において先進締約国間の協議及び調整のための非公式の手続をその発意によって定めることを奨励され、並びにアフリカの影響を受ける国である締約国又は小地域若しくは地域の適当な機関の要請により、実施を円滑にするため、援助の必要を評価し及びこれに対応するための国、小地域又は地域の協議手続に参加することを奨励される。

第十九条 監視についての取決め

 この附属書の監視については、アフリカの締約国がこの条約に従い次のものによって実施する。

P 国の段階においては、第九条に規定する国の調整のための機関の監督の下に機能する制度。その構成については、アフリカの影響を受ける国である締約国が決定すべきであり、及び地方の地域社会の代表者を含める。

Q 小地域の段階においては、学際的な科学技術協議委員会。その構成及び運営の態様については、当該小地域のアフリカの締約国が決定する。

R 地域の段階においては、アフリカ経済共同体を設立する条約の関連規定に定める制度及びアフリカ科学技術諮問委員会


条約本文 前文、第一部、第二部
条約本文 第三部
条約本文 第四部〜第六部
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附属書U アジアのための地域実施附属書
附属書V ラテン・アメリカ及びカリブのための地域実施附属書
附属書W 地中海北部のための地域実施附属書
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