砂漠化に対する国際的な取り組みを進めていく上でNGOの役割は中心的なものがあります。砂漠化対処条約は住民参加の原則をはっきりと打ち出したはじめての条約であり、条約実施におけるボトムアップアプローチ謳っています。
(第3条 原則)抜粋
(第10条 国家行動計画)抜粋
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砂漠化対処条約の交渉プロセスに参加したNGOの多くはアフリカから参加しました。条約関係会議への参加NGOの数は増えつづけ、最初の政府間交渉(1993年)で47だったNGO登録は、第1回締約国会議(COP1、1997年)には187、第3回締約国会議(COP3、1999年)には538にのぼり、さかんな活動を繰り広げました。
条約の条文が合意された1994年の第5回政府間交渉会合において、これらのNGOは条約実施におけるNGO間の協力を図るため、世界的なNGOのネットワークであるRIOD(Le Reseau d'ONG sur la Desertification、砂漠化に関するNGOネットワーク)を形成し、RIODは条約のフォーカルポイントとしての地位を獲得し、条約事務局や各国政府がNGOと交流する窓口となりました。(RIOD:http://riod.utando.com/)
3回にわたる締約国会議においては、公式なプログラムの中にNGOと政府代表の対話のセッションが設けられ、さまざまな地域でのNGOの経験が紹介されました。一方で政府代表はその声明の中で、NGOの役割の重要性、自国の国家行動計画の採択・実施にあたっていかにNGOの参加を得たか、等をさかんに強調しています。
日本においてもいくつかのNGOがアフリカ・サヘル地域、中国などで緑化プロジェクト、薪炭材利用の削減などを目指して実践的な活動をおこなっています。しかし、これらのNGOは現地で実績を上げ感謝されているのにも関わらず、日本国内のサポートは少なく、資金的には非常に苦しいのが現状です。今後は、これらのNGOの効果的な支援、活動のネットワークの促進が課題となっていきます。
「緑のサヘル」代表の高橋一馬氏は、サヘル地域で砂漠化に取り組む日本のNGOの現状について以下のように書いています。
サヘル地域で日本人の常駐者を置き、活動している団体は以上の3団体であるが、いずれも首都からのアクセスが良いとは言えない遠方の農村に入り込み、出来るだけ地元民のレベルに近い生活をしながら(時にはマラリアや肝炎に罹患しながらも)、体験を通して理解しようと努力していることである。日本のNGOは欧米に比べて経験も浅く、資金力も小さいため、まだ力不足であることは否めないが、より一層現場体験を積むと同時に、地域住民や現地政府との協力関係はむろんのこと、支援側でも援助実施国政府や国際機関などの諸関連機関とも協調を取り、国境や地域を越えた砂漠化防止活動の実践が強く望まれる。