特集/シンポジウム報告 動き出した自治体~先進自治体の「プラごみゼロ宣言」~かめおかプラスチックごみゼロ宣言~世界に誇れる「環境先進都市・亀岡」を目指して~

2019年09月17日グローバルネット2019年9月号

京都府亀岡市 市長
桂川 孝裕(かつらがわ たかひろ)さん

 いまや世界は脱プラスチックごみ社会の実現に向けて動き出しています。
 日本国内でも、ようやく一部の自治体が容器包装をはじめとするプラスチックごみの削減に着手し、さまざまな取り組みを進めています。
 本特集では、リユース食器のレンタル事業を確立し、リユース食器レンタルの普及活動を行っているNPO 法人 スペースふう が主催し、今年7月11日に東京都内で開催された「第13 回ふうネットサミット『プラごみゼロ宣言』 ~先進自治体から学ぶ!! ともに学ぼう!!」での基調講演および「プラごみゼロ」を目指して取り組みを進めている先進自治体からの報告を紹介します。

京都の嵐山からトロッコ列車で来ると、亀岡駅が終着点です。亀岡から保津川を下ると嵐山が終着点になります。風光明媚なまちで、トロッコ列車で年間125万人、保津峡という渓谷を使った川の自然を楽しむ保津川下りに30万人、またラフティングに5万人ぐらいの観光客が来ます。

しかし、豪雨があるとその保津峡の川がプラスチックごみだらけになります。景観の悪い状況を見ていただくのは忍びない、ということで、世界に誇る環境先進都市を目指して「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」を市議会とともに進めてきました。

まず、市内では2019年8月20日から、プラスチック製のレジ袋を有料化することにしました。そして2020年のオリンピック開催までに、レジ袋の使用禁止条例の制定を目指しています。これは、マイバッグの100%利用を目指す取り組みです。

レジ袋の有料化、条例制定も検討

プラスチックには汎用性があり、安くて便利なので、プラスチック自体が悪いのではないのですが、一度使っただけで捨てられ、それが河川にあふれ、景観を壊し、マイクロプラスチックとして生物多様性を阻害していることが問題です。ですから今後は、プラスチック製の袋を紙製品や生分解性のものに変えていくため、有料化、禁止条例の制定を進めていく予定です。

市内の6事業者、1組合、13店舗でレジ袋有料化協定を締結しました。また、2019年4月には自治会、観光・商業関連事業者、大学や金融機関、行政などを含む34企業・団体で「世界に誇れる環境先進都市かめおか協議会」を設立し、レジ袋の有料化、禁止条例制定について協議しています。

盛んなパラグライダーの素材からエコバッグ

今後「Plastics Smart かめおか100人会議」を立ち上げる予定で、参加者の募集を始めています。いろいろな角度から議論を進め、2030年までにプラスチックごみをゼロにする目標を掲げ、まずはレジ袋から始めているところです。

亀岡市内で7月、日本青年会議所の近畿地区協議会が開かれ、2府4県の青年会議所のメンバー約3,000人が集まりました。持続可能な開発目標(SDGs)を掲げ、リユース食器を使いながら実施したのですが、その一つとしてKAMEOKA FLY BAG Projectを実施しました。亀岡はパラグライダーのメッカといわれますが、パラグライダーやパラシュートの生地の素材は軽くて強いので、使い終わったものを集めてエコバッグを作るプロジェクトです。縦7m、横8m、奥行き3mの大きなエコバッグを作り、亀岡駅前の広場にモニュメントとして展示しました。この素材から小さなエコバッグを作って販売し、エコバッグ普及率を高める取り組みも進めています。

また、亀岡の水は大変おいしいので公共施設に給水ステーションを設置し、マイボトルの利用を働きかける取り組みを進めています。

環境への取り組みからまちの活性化を図る

私が社長となり、小売電気事業会社「亀岡故郷エナジー株式会社」を設立し、太陽光発電による電気を購入し、それを公共施設に卸す取り組みもしています。2020年1月、亀岡にスタジアムがオープンするのですが、屋根には太陽光パネルを設置し、リユース食器の利用も含め、環境のための取り組みを進めていこうと考えています。

環境への取り組みを通じて、まちのにぎわいや活性化を図りたいと思います。

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