特集/シンポジウム報告 動き出した自治体~先進自治体の「プラごみゼロ宣言」~リユース食器0 円プロジェクトでごみゼロイベントの促進

2019年09月17日グローバルネット2019年9月号

山梨県富士川町 町長
志村 学(しむら まなぶ)さん

 いまや世界は脱プラスチックごみ社会の実現に向けて動き出しています。  日本国内でも、ようやく一部の自治体が容器包装をはじめとするプラスチックごみの削減に着手し、さまざまな取り組みを進めています。  本特集では、リユース食器のレンタル事業を確立し、リユース食器レンタルの普及活動を行っているNPO 法人 スペースふう が主催し、今年7月11日に東京都内で開催された「第13 回ふうネットサミット『プラごみゼロ宣言』 ~先進自治体から学ぶ!! ともに学ぼう!!」での基調講演および「プラごみゼロ」を目指して取り組みを進めている先進自治体からの報告を紹介します。

 

私はかつて甲州市の助役をしており、その時にリユース食器の普及活動をしていたNPOのスペースふうさんと出会いました。スペースふうさんがサッカーJリーグ加盟のプロサッカークラブ「ヴァンフォーレ甲府」の試合でリユース食器を提供していることは知っていたのですが、各地域のお祭りまでも手掛けていることに感銘を受けたのです。

町長に就任して掲げた「資源循環型社会の実現」

私は2007年に富士川町の町長に当選し、まず掲げたのが「資源循環型社会の実現」です。町内に24時間365日、いつでも資源ごみを出せるリサイクルステーションを115ヵ所に作りました。町の人口で計算すると、約50軒に一つです。

町内の小中学校でも環境学習会を開催し、その後年月を重ね、今は衣類、靴、革製品のリサイクルも行っています。リサイクル率は2015年以降右肩上がりで、資源循環型社会が順調に進んでいると思っています。

一方、家庭から出るごみの焼却量は減少しています。6市町で共同処理しており、一人当たりの年間のごみ排出量は平均220㎏ですが、富士川町は180㎏台です。1t減ると焼却費が1万円安くなり、2006年から約800t減っているので、富士川町は負担割合が800万円少なくなったことになります。

また、「富士川町廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例(愛称:きれいなふるさとづくり条例)」も策定しました。焼却ごみをさらに減らし、一人当たり年間で150㎏以下に抑える取り組みを進めています。

子供たちに対しては、環境教育として、保育所や児童クラブなどでごみの「分別ごっこ」をしてもらい、ごみの分別を進めています。

リユース食器の導入促進に補助金

スペースふうが設立された翌年の2004年から、リユース食器の導入促進事業を策定しました(当時は旧増穂町)。しかし、なかなかリユース食器の利用が進まなかったため、町で使用料の半分を補助することにしました。

2004年度から2011年度までは、補助金の年平均額は3万円台だったのですが、スペースふうさんには「補助金が200万円ぐらいになってもいいので、もっとリユース食器を普及させましょう」と話しました。その後、スペースふう さんによる企業協賛の募集により、「リユース食器利用料の0円化」が実現した結果、利用は増え、今では毎年90万円程度の補助金を出しています。焼却ごみが減れば町のごみの焼却負担金も減るので、補助金はもっと出しても良いぐらいだと思っています。

お陰様で町内のイベントでは年間100件近くの利用があります。使ってみればわかると思いますが、こんな便利なものはないと思います。イベントが終わった後は洗わなくても、返却すれば事業者の方ですべて洗ってくれるのです。ぜひ、多くの皆さんに利用していただければと思います。

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