環境条約シリーズ2872020年以降の気候変動に関する新たな法的枠組みとなるパリ協定
2016年02月15日グローバルネット2016年2月号
2020年以降の気候変動に関する新たな法的枠組みとなるパリ協定
2015年11月30日から12月13日まで、フランス・パリにおいて、国連気候変動枠組条約の第21回締約国会議(COP21)と京都議定書の第11回締約国会合が開かれた(本誌2015年3月)。京都議定書に続く新たな法制度を2021年にスタートさせるためには、準備期間を考えると、COP21が基本枠組みについて合意しておく最後の機会とされていた。
しかし、2015年になってからの合意交渉も難航し、COP21の場においても、事務レベルの交渉に加えて閣僚レベルの協議が続けられた。最終的に、会期を延長した上で12月12日に、気候変動に関する新たな法的枠組みとして、パリ協定が採択された。
パリ協定は、世界の平均気温の上昇を2度以内に抑えるという目標に加えて1.5度という努力目標も設定し、その目標に向けた温室効果ガスの排出削減行動をすべての国に義務付けている。各国は、科学性に基づいて自国の削減目標を設定し、提出し、5年ごとに更新し、また、共通かつ柔軟な方法で、その実施状況を報告し、評価を受けなければならない。なお、先進国には、排出削減の率先行動とともに、資金および技術面での開発途上国支援が求められている。
各国の目標達成に際しては、共同実施、削減量の国際移転、森林による吸収量の算入などが認められている。とくに、REDDプラス(開発途上国の森林減少・劣化からの排出の削減)が重視されており、成果に基づく支払い方式が推奨されている。
他方で、適応(上記の削減や抑制をしても生じてしまう気候変動による悪影響への対策)については、カンクン適応枠組みに基づく行動、国別計画の策定、また、気候変動による損失・被害に関するワルシャワ国際メカニズムの活用、先進国による資金提供とともに開発途上国による自主的な提供、関連技術の開発・移転の促進などが求められている。
そのほか、遵守委員会、2023年から5年ごとの目標達成評価などが定められている。COP22は、2016年11月にモロッコ・マラケシュで開かれる。