フロント/話題と人森田 桂治(もりた けいじ)さん(NPO法人アーキペラゴ 副理事長)

2019年06月14日グローバルネット2019年6月号

うどん屋でマイボトルに水補給
香川で広がる「使い捨てプラスチック削減」の取り組み

森田 桂治(もりた けいじ)さん
(NPO法人アーキペラゴ 副理事長)

「うどん県」とも呼ばれる「讃岐うどん」が特産の香川県では、うどん屋に入れば無料で給水できる――そんな試みが昨年から始まっている。

発案者である森田さんは10年ほど前、「美しい海を瀬戸内から」を合言葉に始めた海辺の清掃活動で、プラスチックごみの多さにショックを受け、使い捨てプラスチックの削減のため、持参したマイボトルに給水できる「オアシススポット」を設置することにした。

そこで目を付けたのがセルフサービスで地元の「ソウルフード」うどんが食べられるうどん屋だった。気軽に水やお茶が飲める給水器がもともとそろっていたので、新たな設備投資は不要。加えて、お客さんが来れば過剰なほどもてなしたくなる香川県民の「お接待文化」も備わっていた。そこで、賛同してくれる飲食店や事業所を募り、入り口に「マイボトルOK」と書かれたステッカーを貼ってもらう。現在、県内に45ヵ所あるオアシススポットの約4割はうどん屋だ。

森田さんは高松市出身。京都の大学に進学し、東京の企業に就職したが、後に香川にUターン。香川の情報を発信する会社を立ち上げた。旅行が好きで、若い頃はアメリカやアフリカなどの4,000m級の登山や川下りなど、海外の「大自然」に魅せられたが、長男が生まれてからは「ふるさと香川の小自然が輝いて見えるようになって」、地元のNPO団体での活動をスタート。今では海ごみに関する出張授業や、香川の自然や暮らしを紹介するガイドの育成、ツアープログラムの開発など、香川の魅力を紹介するさまざまな活動を展開している。

オアシススポットでは、赤ちゃんのミルク用など、お湯の補給もOK。ジョギング中の市民ランナーもマイボトルを手に来店する。

2010年から瀬戸内国際芸術祭が開かれるようになり、海外からの観光客も急増している香川県。今後はカフェやゲストハウスなどにもオアシススポットを広げ、年内に高松市内で200ヵ所の設置を目指す。

「マイボトルを持つのはかっこいい、というライフスタイルを広めたい」と森田さん。「高2の息子と中2の娘が友だちも連れて活動に参加してくれるのが何よりうれしい」と目を細めた。49歳。(絵)

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