特集/WISE FORUM 2015 報告 幸せな未来を創造する ~国産材とビジネス~「今来ている国産材」事例:国産材ビジネスの今と可能性 事例4:雑貨・ギフトで地域材を使う
2015年12月15日グローバルネット2015年12月号
国産材を使った多面的な事業の現状と可能性について、基調講演と事例報告の概要を特集しました。
一般社団法人モア・トゥリーズ 事務局長
水谷 伸吉(みずたに しんきち)さん
モア・トゥリーズは音楽家の坂本龍一氏の呼び掛けにより、2007年に創設した団体です。拠点は東京ですが、いろいろな地域と連携し、現在は北海道から九州の宮崎県諸塚村まで、国内11ヵ所の地域と協定を結んでいます。海外では、フィリピンで現地の農民やNGOと協力して、およそ200haの荒地で植林活動を行っています。
森林と都市の人びとを結ぶためのプロダクト
基本的には地域の森づくりそのものには手を出さないようにしています。われわれの強みは、都市部の消費者にアプローチすることができるということです。都市に生活する人が「国産材」や「森林」という存在を身近に感じることのできる接点を作っていこうと活動しています。
地域の木材を利用して製作した最初のプロダクトは鳩時計でした(写真)。プロダクトデザイナーの深澤直人氏にデザインしてもらい、2009年から発売しています。購入用途を調べてみると、引っ越し祝いなどギフトに使われることが多いようです。
まずは身近なものから国産材を知ってもらう
建築や家・家具など規模の大きいものの方が、国内の山に眠っている森林資源を有効利用できると認識しています。しかし森林に関心がない人が「国産材で木造住宅を建てよう」とはすぐに考えが及ばないかとも思っています。ですから、まずは小物など身近なところから木に、とくに国産材に触れてもらう、そして「国産材を消費することは浪費ではなく、森とつながること」と認識した人がやがて家具や家を国産材にしようと考えてくれるのではと期待しています。そのファースト・ステップとして、まずは小物・雑貨というプロダクトを扱っているのです。
しかし「国産材」「Made in Japan」という要素に加えて、デザインやストーリー性も当然求められます。消費者に直感的に「これが欲しい」と思わせるプロダクトを作っていくことで、消費者の共感を呼び、財布のひもが緩むきっかけになるのではと思います。
私たちは消費者に「欲しい!」と思わせるような、より洗練されたプロダクトをこれから先も出していきたいと思っています。