特集/WISE FORUM 2015 報告 幸せな未来を創造する ~国産材とビジネス~「今来ている国産材」事例:国産材ビジネスの今と可能性 事例3:地域材を使って家具をつくる
2015年12月15日グローバルネット2015年12月号
国産材を使った多面的な事業の現状と可能性について、基調講演と事例報告の概要を特集しました。
株式会社ワイス・ワイス 代表取締役
佐藤 岳利(さとう たけとし)さん
ワイス・ワイスは2008年にフェアウッド・パートナーズに出会いました。その出会いで会社が劇的に変化し、私も全く違う人生を歩む程の大転換が起こりました。
わが社は1996年創業で、家具やインテリア商品の開発や販売をしています。今年で20期目を迎えました。第12期ぐらいまで、売り上げが右肩上がりで伸びる一方、利益率は落ちていき、赤字が累積し、2008年の1年間で1億円の赤字を計上しました。経営は瀕死状態で、「中国で同業他社よりもさらに安いものを作って競争に打ち勝つか、この競争から脱出するか」のどちらかを選択しないといけない事態に陥りました。
当時は製品のトレーサビリティの管理を一切しておらず、100%外国材で物作りをしていました。会社は当然超低価格競争の中で薄利多売の物作りをしていました。
そんな中わが社の製品が使っている木が熱帯雨林の破壊などに関わっている可能性があることを、フェアウッド・パートナーズに指摘されました。
FSCの森から国産材の家具作り
2008年9月、岩手県平泉町の山奥へ、FSC認証の林を訪ねました。その見学がきっかけで、商品を合法木材や国産材に徹底的に切り替えていこうと考えました。全国の「縁のある産地の木々を使った家具作り」という取り組みには2009年に本格的に着手し始めました。例えば東日本大震災で被災した製材所でスギの木を使った椅子や、宮崎県諸塚村では地域の方々と一緒に使われなくなったシイタケ原木のドングリ材を使った家具作りなどを行ってきました。
その後フェアウッド・パートナーズとの協力で、自社製品に対しての「フェアウッド宣言」で合法木材・国産材などトレーサビリティ100%の木材を使用するという方針に転換しました。すると売り上げは減っていく一方で会社の経営は黒字に転換しました。営業利益率が今年は7%まで回復しています。
フェアウッド宣言後は仕事も競争ではなく、紹介が中心となりました。黒字の経営になってからは相手を紹介したり、紹介されたりを繰り返すようになり、温かい人間関係を持てるようになりました。
フェアウッド宣言をし、宮崎県諸塚村で家具作りを始め、新しくできた人間関係があります。毎年諸塚村の子供たちはわが社を訪ね、地域材の家具作りの取り組みについて一緒になって勉強しています。また私が諸塚村に行くと歓迎してくれます。このような関係性ができてきたことで、ビジネスだけではなく、人間関係ができて温かい気持ちになりました。フェアウッド宣言をしてから、ビジネスや国産材ということを通じて、このような人間関係が実現できるということを、体験してきました。今後もどんどん多くの人と温かい人間関係を築いていきたいと思います。