環境の本図説 日本の湿地 人と自然と多様な水辺

2017年08月17日グローバルネット2017年8月号

監修●日本湿地学会

「湿地」といえば、湿原や干潟などじめじめした所という印象を持っていたが、実は、「水田や沿岸域や人工的な水域なども含む」という。つまり、川、湖、水田、農業用水路、ビーチも湿地。その湿地は、世界の陸域の6 ~ 15%を占めるという。乾燥地が30%であるのに対しその比率は低いが、生物が生きるためのさまざまな機能を果たしている。

本書は4 部で構成され「湿地の恵みを受ける」で人との関わり、「湿地を彩る個性派たち」で生き物、「湿地の姿と仕組み」で湿地という場、そして「湿地を活かす仕組みと人々」で保全の取り組みについて、各分野の専門家が執筆している。連載「環境条約シリーズ」の執筆者、磯崎博司氏もその一人である。

サンゴ礁、水田、温泉など湿地をタイプ別に説明し、自然に関することばかりでなく、水とのつながりがあるスポーツ、歴史・文化、また湿地に生息するさまざまな生き物、さらに湿地を保全するための国際的な条約や取り組みについても紹介されている。

多くの写真とともにわかりやすくまとめられており、あまり着目する機会のなかった多様な湿地の世界とその存在価値について理解できる1 冊。

(朝倉書店、5,000 円+税)

タグ: