環境条約シリーズ 299HFCの生産・消費量の削減が決まったモントリオール議定書第28回締約国会合

2017年02月15日グローバルネット2017年2月号

前・上智大学教授
磯崎 博司(いそざき ひろじ)

2016年10月10日~14日までルワンダ・キガリにおいて、オゾン層破壊物質(ODS)に関するモントリオール議定書の第28回締約国会合(MOP28)が開かれた。そこでは、前回のMOP27で採択されたドバイ・パスウェイに沿って(本誌2016年5月)、ODSではないが温室効果の強いハイドロフルオロカーボン(HFC)について生産・消費量の削減を定めるキガリ改正が採択された。

キガリ改正は、締約国に対して、2011~13年の平均量を基準として、19年から36年までにHFCの生産・消費量の85%分を段階的に削減することを義務付けた。開発途上国には、2020~22年を基準とし、24年に基準量に戻し、45年までに80%分の段階的削減という時間的猶予を認めた。さらに、インド、パキスタン、イラン、イラクおよび湾岸諸国には、2024~26年を基準とし、28年に基準量に戻し、47年までに85%分の段階的削減という特別猶予を認めた。

キガリ改正は、20ヵ国以上の批准により2019年1月1日に発効するが、それ以前の暫定適用が推奨されている。なお、開発途上国による前倒し行動に関するミクロネシア宣言も表明された。

そのほか、不遵守手続きに基づいて(本誌1998年6月)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)の消費上限量を超過したグアテマラ、および、報告義務を果たしていないイスラエルに対して遵守回復を促す決定が採択された。

また、四塩化炭素の不可欠用途のための規制免除として、中国による研究分析(オイル検出)用の2017年分の申請が承認された。同様に、臭化メチルの不可欠用途のための規制免除としては、オーストラリア(イチゴ)による2018年分の申請が、また、アルゼンチン(イチゴ、トマト)、カナダ(イチゴ)、中国(ショウガ)および南アフリカ(製粉施設、建造物)による2017年分の申請が承認された。

MOP29は、2017年11月にカナダ・モントリオールで開催される予定である。

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