環境の本
・水の未来―グローバルリスクと日本
・市民版環境白書 グリーン・ウォッチ
2016年06月15日グローバルネット2016年6月号
水の未来ーグローバルリスクと日本
著●沖 大幹
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書統括執筆責任者で、水資源・水循環研究の第一人者である筆者が、「水」をテーマに、その未来を予測した一冊。
近年、猛烈な台風、豪雨、渇水などによる水の災害リスクが世界中で高まっている。水災害はライフラインや農作物への影響だけでなく、金融面にも大きな被害をもたらす。タイで2011年に発生した大洪水では、再保険分も含めた保険金支払額は同年に起きた東日本大震災をはるかに超える約9,000億円にのぼり、日本の産業、金融にも大打撃となった。水災害へのリスク管理は重要な課題となっている。
水によるさまざまな影響を正しく理解し、今後どのように対処していくべきか、そのヒントが豊富なデータとともに盛り込まれている。
市民版環境白書 グリーン・ウォッチ
発行●グリーン連合
地球環境の保全と持続可能な社会の構築を目指して2015年6月に発足したグリーン連合(本部=東京、76団体)が発行した市民版の環境白書。政府や一部企業を批判するのではなく、国際社会の一員として政策の方向性を提案することを狙いに、環境NPOの専門家、研究者などが分担執筆し、客観的事実を踏まえた提案書となっている。
主要な環境政策のレビュー、福島原発事故の被害と政府の対応、なぜ環境政策がうまくいかないのか?日本の環境政策の問題点の3章から成り、明快で簡易な文章で書かれている。国際的視野からの提案も多く、石炭火力の発電計画に大きく傾く日本のエネルギー政策に対し、「脱石炭」が世界の潮流であることを多くの海外事例を交えて紹介している。
PDF版はグリーン連合のWEBサイト(http://greenrengo.jp/)より入手可能