環境の本私たちは何を捨てているのか ―食品ロス、コロナ、気候変動

2025年04月17日グローバルネット2025年4月号

私たちは何を捨てているのか ―食品ロス、コロナ、気候変動

著●井出 留美

コロナ禍、ウクライナ戦争、気候変動などが引き金となり、世界中で食料価格が高騰。日本でも卵、野菜、コメなどの品薄・高値が続き、低所得者層に打撃となり、食料支援を必要とする人が急増している。それぞれの要因が本書で明らかにされるが、大きな問題は、それにもかかわらず食品ロスが出続けていることだ。

著者は、世界の温室効果ガス排出量の3分の1が食関連、国に見立てると食品ロス由来の排出は世界第3位、食品ロスの削減は3番目に有効な対策という、食品ロスの「三つの3」を繰り返し強調し、諸外国・自治体の先進的事例を引きながら、国家予算を付け、本格的に脱炭素政策に位置付けるよう訴える。取り組みの遅れは、負の循環を招く。食品ロスが、今や気候変動・生物多様性と並ぶ地球規模の課題であると考えさせられる一冊。(筑摩書房、920円+税)

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