フロント/話題と人野崎 衛さん(レコテック株式会社 代表取締役・CEO)

2025年03月14日グローバルネット2025年3月号

資源循環のインフラを広げ、世代間責任を果たしたい

野崎 衛(のざき えい)さん
レコテック株式会社代表取締役・CEO

資源循環のインフラづくりや「世代間責任を果たすこと」を目指すレコテック株式会社。2007年に野崎さんがたった一人で創業したが、さまざまな経歴を持つ社員が集まり、現在6名で事業を展開している。

エンジニアへの憧れと「社会課題に取り組みたい」という思いから、技術系企業での仕事を経験後、北欧の廃棄物処理機械を輸入する企業に転職。ごみ問題など、クローズアップされていない社会課題に取り組むことにやりがいを感じるようになった。「環境分野で売り上げを上げるのは難しいとわかっているが、自分がどこまでできるか試したい」と独立し、次世代型廃棄物計量管理システムを開発。POOLと名付けたこのシステムでは、集積所で分別品目ごとに重量を入力することでごみの排出量や排出元を見える化し、廃棄処理費の公平な分配や効率の良い回収頻度、回収ルートの設定ができるようになる。またPOOLは、廃棄物をきちんと管理することで国内のリサイクル法や拡大生産者責任の考え方、海外の規制をクリアしやすい仕組みづくりにもなる。再生材の需要が増えている現在は、動脈産業との循環もつくり出すため、回収した廃棄物を活用した再生材の製造にも取り組む。調達過程や回収元がわかる一方、今は品質向上と安定供給が課題だ。

「主要なごみ置き場はほとんど見てきました」と野崎さん。各施設のごみ集積所で担当者やテナント従業員と接する際、「細かく分別して回収する意味をきちんと説明すると、皆とても協力してくれる」と話す。

今年8月、横浜で開催されるアフリカ開発会議(TICAD)において、セミナー開催やビジネスネットワーキングイベントなど、アフリカのプラごみ問題に対するソリューションと、サーキュラーエコノミー推進のきっかけづくりを提供する。選ばれた日本企業をナイジェリアに案内し、現地での商談の機会も作る予定。「アフリカに興味があり、環境やプラスチックの分野でビジネスを展開しているスタートアップや中小企業の方はぜひ声をかけてほしい」と呼びかける。

近年は大手メーカーや商業施設だけでなく、自治体との連携も進んでいるPOOL。その導入範囲は点から線に、そして線から面に大きく広がっている。(海)

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