環境の本枯木ワンダーランド～枯死木がつなぐ虫・菌・動物と森林生態系

枯木ワンダーランド ～枯死木がつなぐ虫・菌・動物と森林生態系

著●深澤　遊

「再生可能エネルギーとして木質バイオマスの利用が促進される中で、枯木が単なる燃料として積極的に使われる」風潮に対する危機感が執筆の動機の一つとあり、膝を打った。枯木は多様な生物にすみかと栄養を提供し、森林生物の3 分の1 が依存する生態系の基盤で、林内の炭素貯留量も枯死木を除去しない方がはるかに多くなるという。一見無駄に見えるものに安定的な生態系サービスと炭素蓄積という大きな価値がある。この認識が危機に瀕する地球環境と人間社会を救うために必要になるだろう。

単純で経済性に偏りがちな視点を離れ、森林生態系という複雑なシステムの価値を理解するために必読の書（築地書館、2,400円＋税）。