環境の本盗伐~林業現場からの警鐘

2024年06月17日グローバルネット2024年6月号

盗伐~林業現場からの警鐘

著●田中 淳夫

 「盗伐」と聞いて日本で起きていることだと想像する人は少ないだろう。本書は、2016年に発覚した宮崎県の事例を中心に日本各地の盗伐事例をレポートしている。そして、背景として林政の失敗や業界の遵法精神の欠如、遠く離れた森林にあまりにも関心を持たない私たち市民の存在という、盗伐が起こる原因の構造を解き明かし、さらに、海外での違法伐採の現状とその対策についてコンパクトにまとめている。

 森林ジャーナリストと自称する著者は、日本の盗伐をテーマにした本の執筆には当初後ろ向きだったという。しかし、盗伐の存在を自覚することが、「森林行政の刷新と林業健全化のチャンス」につながるのだという、日本の林業と森林への熱い思いを土台に書かれた一冊。(新泉社、2,000円+税)

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